2026年4月20日に三陸沖でM7.7の地震が発生し、青森県階上町で最大震度5強を観測した。幸い死者は出なかったが重傷者2名を記録した。今回の地震の震源域の少し北側では2025年12月8日にもM7.5の地震が発生し、この地震をきっかけに「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が1週間にわたって発表された。図1に今回の地震の震央と前回の地震の震央及び後発地震情報の想定する震源域を示す。震央を中心として円で示した領域は2つの地震の影響が及ぶ地域を示しており、この円の領域が少しでも想定震源域にかかっていると後発地震の情報を発する対象となる地震となる。つまり、これらの地震が発生するとその影響によってM8クラス以上の巨大な地震が誘発される可能性が高まるというわけである。後発地震注意情報の意味については、下記URLをご参照されたい:
(https://chikouken.org/report/report_cat05/17879/)
では、この後発地震注意情報が発令された場合、我々市民や自治体はどのような対応行動をとるべきなのだろうか。後発地震注意情報に対するガイドラインが内閣府(防災担当)のWebから取得できるので、詳細はこの資料を参照されたい:
(https://www.bousai.go.jp/jishin/nihonkaiko_chishima/hokkaido/pdf/guideline_honbun.pdf)
ここでは、この資料に記載されていることを中心に主な事柄のみをまとめておく。まず、重要なことは前報でも述べたが、この注意情報が発表された際に対応をとるべき自治体が決まっていて、北海道から千葉県に至る広い範囲で合計182市町村が指定されているということである。図2にこれらの地域を再掲する。ちなみに、この中で大正大学と連携協定を結んでいる市町村は以下のとおりである:
北海道:浦幌町、帯広市、鹿部町、室蘭市、岩手県:一関市、久慈市、遠野市、平泉町、宮古市、矢巾町、宮城県:栗原市、塩竃市、登米市、南三陸町、福島県:広野町、千葉県:館山市。
まず、これらの地域に住んでいる住民、特に海岸近くに住んでいる方々は今回のような後発地震注意報が出た際に特に重要なのは、津波に対する避難行動への態勢である。沿岸の住民は必ずハザードマップを確認して、後発の巨大地震が発生して津波警報が発令された場合に、直ちに避難できる態勢を準備しておくとともに、“どこに逃げるのか”を家族や大事な人同士で確認しておくことである。“津波てんでんこ”という言葉があるのはご存じの方が多いと思うが、これは“津波の際には他人を助ける余裕はないので、たとえ家族・知人があっても、かまわずに一人で高いところに逃げろ”という教えである。これは、ちょっと考えると、随分と“自分勝手”な行動のようにも感じられるかもしれない。子供が幼稚園や学校に通っているような場合、どうしても子供を連れて逃げたくなる気持ちもあるであろう。しかし、これは単に“最低限、自分だけでも逃げれば家族が全滅するのを防げる”という後ろ向きの考えだけではない。事前に家族でよく話し合って、“家族が離れ離れになっていても、ほかの家族も必ず逃げられる”という家族間の信頼があることで“皆がそれぞれ逃げて生き延びられる”という意味を含んでいるのである。どこにいても“皆が逃げられる”という自信を事前に持つことが重要なのである。
また、津波だけでなく大きな揺れに対する備え、例えば倒れやすい家具の近くで就寝しないなどの注意や地震後の避難生活に必要な防災用品を確認しておくなどの準備も必要である。後発地震注意情報が出たからと言ってもその発生確率は大変低いことでもあるので、あまり深刻に考えるよりは、“避難訓練をするよい機会”と思って行動するのがよいのではないだろうか。
次に、自治体がとるべき防災対応についてまとめておく。ガイドラインによれば以下に述べる2点が重要である。
1)「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表されたことを地域住民に迅速かつ正確に伝えるとともに、後発地震への備えとして、揺れを感じたり津波警報等が発表されたりした場合に、すぐに避難できる態勢の準備等を徹底させるための呼びかけを行う必要がある
2)各自治体で、管理・運営している公共施設における職員・施設利用者の避難誘導手順等の再確認を徹底するほか、後発地震が発生した場合に地域住民が避難する避難場所の点検等も実施する必要がある
1)については、注意情報の呼びかけ期間が1週間とされていることから、各自治体においても1週間は定期的に(例えば1日一回程度)住民に呼びかけを行う必要がある。このほか、以下の各事項を実施する:
・各自治体で管理・運営する公共施設においては、職員・施設利用者の避難誘導手順等の再確認(避難場所・避難経路の再確認)を実施する
・後発地震が発生した場合に住民が避難する指定緊急避難場所を点検する
・後発地震に備えた初動体制を再確認する
・後発地震が発生した際の企業等との防災協定等を確認する
なお、これらのことを自治体として整然と実施するために、事前に対応マニュアルを作っておくことが望ましい。読売新聞(2026年4月27日朝刊)によれば182自治体のうち4割近くの69自治体が対応手順をまとめた計画を策定していないとの事である。このような計画がないと実際に注意情報が発表された際に円滑な対応ができない恐れがあるばかりでなく、後発の巨大地震が発生した時の対応が遅れる恐れがある。各自治体は、今回の注意情報の発表をきっかけとして庁内の体制を見直し、後発地震が発生しても被害を最小限にとどめられるという自信を持つための努力を怠らないようにしてほしい。

図1:2025年12月8日と2026年4月20日の地震の震央と影響を及ぼす円。赤線で囲った領域はこれらの地震によって誘発される可能性のある巨大地震の想定震源域

図2:北海道・三陸沖後発地震注意情報発表時に防災対応をとるべき地域


