観光地域づくりプラットフォームの形成・確立に取り組んでいます。

観光地域づくり

観光地域づくり

プロジェクト概要

1.背景としての国の観光戦略
2.本研究事業の目的と狙い

背景としての国の観光戦略

地方の人口減少、地域経済の縮小が大きな課題となっており、交流人口の拡大につながる観光はこれからの地域活性化の中で重要な戦略となっています。2015 年にインバウンドが約 2000 万人となり、政府は「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」(議長・安倍晋三首相)において、これまで目標にしていた「2020 年東京オリンピック・パラリンピックの年にインバウンド3000 万人」目標をさらに上方修正し、2020 年に 4000 万人、30 年に 6000 万人」に増やす新目標を決めました。

東京オリンピック&パラリンピックの開催、観光が世界的な成長産業であること、先進国の中では日本が最下位で今後も伸び代が大きいこと、ビザの要件緩和や免税範囲の拡大など他の分野に比べて成果が期待できること、そして地域経済への波及効果が高いなどが主な根拠となっています。

そのような状況下、新しい観光を推進する仕組みづくりで期待されている「DMO:観光地域づくりプラットフォーム」(Destination Management/Marketing Organization)が地方創生を進める国の観光戦略の柱となりました。それは従来の縦割りの観光戦略ではなく、地域住民、生産者、商店街、ものづくり職人、観光施設、交通など多様なステークホルダーが互いに win&win の関係になる観光地域づくりを推進するものです。国は今後 2020 年までに世界水準の DMO を全国で100 組織を形成し、「3 本の矢」による地域支援を推進していく計画で、既に広域連携 DMO7件、地域連携 DMO39 件、地域 DMO24 件の計 70 件の登録が済んでいます(平成30年3月30日時点:観光庁)。選ばれた DMO は地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として多様な関係者と協同しながら「観光地域づくり」を推進していかなければならないと考えます。

本研究事業の目的と狙い

各地域で DMO を組成し、参加するステークホルダーとの合意形成を図り、「観光地域づくり」を推進するこは容易ではありません。しかも、「DMO」は学問的にもまだ検証、精査すらできていない。 DMO を考えるにあたっては今までの観光振興策を総括し、観光により豊かな地域づくりを実現するという道筋を理解することが肝心であり、その理解なくしては組織を作り上げても成果は期待できません。

観光による交流を活発にすることで地域課題を解決するなど豊かな地域づくりを実現することを「観光地域づくり」とよび、観光は地方創生の重要な戦略となっています。本学地域構想研究所においては「地域資源活用による新価値の創造」をテーマとした研究ブランディング事業の一環として「DMOの研究」を取り上げてまいります。また、次世代に来る新しい価値とは何かを大きな視座と視野から捉え、当研究所の「研究プロジェクト自然・環境」、「研究プロジェクト文化・歴史」各チームと連携しながら、地域資源を見直すとともに、制度資本・文化資本・教育資本・関係資本の視点からも再評価し、新たな視点で「次世代の観光地域づくりのあり方」に関する実践的研究を行ってまいりたいと考えます。