2026年度石狩アグリケーションプログラムを通して

著者
大正大学 表現学部 表現文化学科 情報文化デザインコース2年
上岡 希愛

はじめに

なぜ、在学生である私が、大正大学地域構想研究所の研究レポートを執筆させていただく運びになったのか…それは「2026年度石狩アグリケーション」に参加したためです。
今回は、石狩市はもちろん、北海道とは縁もゆかりもない私が、このプログラムへの参加に至った経緯から、実際にプログラムを終えた今思うことまで……まだまだ知られざる石狩アグリケーションの魅力を、ほんの一部ではありますが、お話ししたいと思います!

石狩アグリケーションとは?

石狩市が位置する場所

そもそも「石狩アグリケーション」とは、地域の方々と交流しながら、基幹産業である「農業」に触れ、その地域のリアルなローカルワーク・ローカルライフを体感するという、地域実習プログラムです。
「アグリケーション」は、農業(Agri)と休暇(Vacation)を組み合わせた造語で、原則8日間の農作業(Agri Work)を行い、土日を休暇としてローカルライフを楽しみます。
石狩アグリケーションは、農業に専念する「ベーシックタイプ」と、農業はもちろん、テレワークが可能な本業とも両立のできる「スマートタイプ」の2タイプがあります。もちろん、学生の私は、ベーシックタイプで8月4日(火)- 8月13日(木)まで、休暇の2日間を含め、計10日間参加しました。

参加に至った経緯

このプログラム制度を知ったのは、1年前の大学1年生の時、大学のお知らせ掲示板を見かけたことがきっかけでした。当時は諸事情で都合が合わず参加を見送りましたが、念願叶い、今年、やっと参加することができました。
私が心惹かれた理由は大きく2つ。
1つ目は、「学生である今しかできないことに手当たり次第挑戦したい」と考えているからです。将来の夢が決まっていても、今のうちから視野を狭めて自分の行動を制限してしまうのではなく、もっと広く世界を見て、新たな刺激を取り込むことが大切なのではないかと考えました。
2つ目は、石狩市からの支援が充実していることです。参加にあたって、石狩市から宿泊や食事などの支援があるため、学生でも参加しやすい環境が整えられています。経済的な負担を抑えながら、普段の学生生活ではなかなかできない農業体験ができることにも魅力を感じました。
他にも、親戚に農家が多く、昔からお手伝いしていた経験があったこと、自然が好きなこと、人々が生きていくにはなくてはならない第一次産業において、担い手不足や気候変動による異常気象などで不作問題が進む中で、機会があるなら第一次産業に携わり、少しでも力になりたいと思っていたこと、北海道を訪れてみたかったこと、久しぶりに一人で遠くに旅に出たかったことなどなど……さまざまな理由やきっかけが私の背中を後押しし、参加を決めました。

見て、聞いて、感じたこと

無事北海道に初上陸し、まず何よりも最初に口をついて出た言葉は「涼しい⁉︎」でした(笑)。特に、石狩市は海が近く、その涼しい潮風の影響で、真夏とは思えないほどの涼しい気候が特徴です。しかし、農作業を行うハウスの中は別……容赦無く日光が照り付け、救いの風も、ハウスの中には入ってきません(それでも、関東とは比べ物にならないほど涼しいのですが……)。朝8時頃から夕方の17時まで、途中10時・15時の小休憩と12時から13時までの1時間のお昼休憩を除き、そんな環境の中、農作業は行われます。
私が今回お邪魔したのは、ご夫婦でトマト農家を営まれている星さんの農園。主に育てられているミニトマトはもちろん、大きいトマトから茄子やきゅうりなど旬の夏野菜、他にもたくさんのお野菜が育てられていました。

実際収穫したミニトマトたち

中でも私は、ミニトマトのお手伝いをさせていただきました。具体的な作業としては全部で4つ。「収穫」・栄養の行き渡りの分散を防ぐ「わき芽取り」・過度な成長を止める「芯止め」・「箱詰め」です。主に行う「収穫」は、赤く熟しすぎているものは、出荷から店頭に並ぶまでの間にだめになってしまうため、黄色やオレンジなどに色づいたトマトが適正であることを知りました。普段スーパーなど店頭に並ぶトマトと、農園で赤く熟すまで育てられたトマトとを食べ比べさせてもらうと、素人でも一瞬で分かってしまうほど、甘さの違いは歴然でした。

実際に収穫作業を行なっているときの様子

収穫する際のコツは、実の少し上にある「くの字」になった茎の節の山になっている部分を、反対側から指で軽く押すことです。実は、ミニトマトはヘタが取れてしまっていたり、逆に節より上の茎部分まで採れてしまっていたりするだけでB級品になってしまい、価格が半減してしまいます。そのためこれは、ヘタを取らずに収穫するための方法でもあるのです。

左がA級品 右2つはB級品

収穫に慣れてくると、始めは1日で2・3カゴを収穫するので精一杯だったのが、最終日には6カゴ収穫できるようにまでなりました。暑い中ただひたすら作業を行うのは、確かに大変なものでした。しかし、そんな達成感を感じることができたり、優しくあたたかい農家や石狩市の方々といろんなお話をしたり、美味しいものを食べたり、ここでしかみることのできない景色を見ることができたり、温泉でゆっくりと心身を休めたり、たくさんの野生動物を間近で見ることができたり、休日には観光や聖地巡礼をしたり……自分が心身共に「満たされていく」感覚は、とても気持ちの良いものでした。

農作業中に遭遇した野生鹿と野兎

プログラムを終えて

「楽しかった。」実際、10日間にも及ぶプログラムを終え思うことはたくさんありますが、まずはただただこの一言に尽きました。初めて一人で手配する航空券、一人で乗る飛行機、訪れる地、目に映る景色、聞こえる音、纏う香り、感じる空気、出逢う人、食べるもの、文化、生活……何もかもが初めてのことばかりで、もちろん戸惑いや不安もありました。それでも、その気持ちを優にかき消してしまうほど「楽しい」という感情で溢れていました。身をもって、自身の成長や心の移り変わり・物事の受け取り方や考え方が変わり、本当に参加して良かったと、心から思っています。

ランチセット(1食)支援対象の「わがまま農園カフェ」と
バケーション日に訪れた「白銀の滝」

おわりに

支援対象の「番屋の湯」から徒歩6分ほどの
「あそびーち石狩」から見える夕日

いかがだったでしょうか?拙い文章ではありましたが、今この研究レポートを読んでくださっている皆さんに、石狩市や石狩アグリケーションプログラム制度の魅力を、少しでも伝えることができていたら、これ以上ない幸せです。大学生はもちろん、社会人の方でも気軽に参加することができるプログラムです。より多くの人に、一度は体験してほしい……!たくさんの方のご参加を、心よりお待ちしております!
最後になりますが、さまざまな面で終始サポートしていただいた半田 佳希様をはじめとするJAさっぽろ営農課の職員の皆さま、宿泊場所の提供から毎日3食美味しいご飯を作ってくださった素泊り館オーナーの山田様、農業の手取り足取りを優しく丁寧に教えてくださったトマト農園の星さん一家の皆さん、他にも、あたたかい石狩市の皆さま大変お世話になりました。改めて、心より感謝申し上げます。
この夏の貴重な体験を糧に、これからも努力し続けようと思います。
本当にありがとうございました。

2026.10.15