高校生たちの活動を紹介する「高校生ミライ新聞」を発行

著者
大正大学地域構想研究所 地域支局研究員(徳島県阿南市)
鈴江 省吾

これまでの経過

徳島県阿南市では大正大学との連携協定に基づく地方創生・地域の活性化等に関する研究事業の一つとして、「高校生ミライ会議」を開催してきました。市内5校の高校生が一堂に集い、地元の企業経営者や大正大学学生とともに阿南市と自分自身のミライを考えることで、地域への愛着や将来のふるさと回帰を醸成しようとする狙いです。

毎回、令和2年度はコロナ禍でやむなく中止といたしましたが、これまで会議の様子をまとめていた「高校生ミライ新聞」をリニューアルして、かつての参加者の「今」と地域で活躍する現役高校生を紹介する内容で発行することとしました。

高校生の背中を押す「総合的な探求の時間」

「まちづくりをテーマに活動したいんですけど・・・」大正大学阿南支局を訪ねてきてくれた女子高校生の一言がきっかけでした。本格的にスタートした「総合的な探求の時間」で高校生が地域と関わりを持つ機会が増えてきました。このことはミライ会議でも推進してきたことでもあり、街に飛び出して行動する高校生を多くの人に紹介したいと思いました。

高校生ミライ会議の検証

もう一つは過去3回のミライ会議の振り返りです。「会議に参加した高校生は何を感じ、今どうしているだろうか」「後輩に伝えたいことはなんだろうか」・・・今後事業を進めていく上でPDCAサイクルの観点からぜひ感想を聞いてみたいと考えました。

取材のスタート

帰省中の大正大学地域創生学部3年「中野美優」さんと各高校の活動をピックアップして、感染対策に留意しながら順次取材を進めました。彼女は卒業研究に関連して小中高生と地域をつなぐ団体でのインターンシップ経験もあり、年齢も近いことから、高校生たちのリアルな反応をうまく引き出してくれました。

紙面の構成

A2の両面カラー4折りで、明るく楽しいデザインを目指しました。おもて面のタイトルは「これまでのミライ会議出席者を直撃『あの人は今』」とし、大学生4人と社会人2人にインタビューした内容を記載。それぞれ過去と現在の写真をレイアウトしました。

❏高校生ミライ新聞(紙面はミライ新聞から)

誰もがミライ会議のことを覚えていて、「大人と話ができて刺激を受けた」「あの時の夢を追っている」「就職してコミュニケーション力の大切さを痛感した」「ぜひ後輩にも参加してほしい」など、ミライ会議の思い出やこれからの抱負を語ってくれました。うら面のタイトルは「高校生は地域から何を学ぶのか!」。まちマルシェ、バス停壁画、商人塾、空き家リノベーション、花火、防災カレーなど、4校15人が取り組んだプロジェクトに対する想いや感想を紹介しています。

また、地元役場に就職して若者とまちをつなぐ活動をしている富岡西高校の中山拓真さん、阿南市ふるさと未来課長の柏木章宏さんにも熱いメッセージをいただきました。

富岡東高校「バス停壁画」

❏YouTube

まとめ

「いつかこのミライ会議の同窓会をやりませんか!皆さんが再び集まれば素晴らしいまちづくりのアイデアが生まれます」かつて出席いただいた委員の言葉が思い起こされます。「あの時にミライを考えたことは自分のモチベーションアップになった」「もっと高校生が地域と関わる機会を増やすべき」「地域は素の自分を受け入れてくれるところ」・・・リアルな会議はできなかったけれども、先輩・後輩たちの想いが詰まったこのミライ新聞が高校生の地域活動への意欲を掻き立て、地域や企業が動き始めた高校生を受け入れる体制構築に向けての一歩となれば幸いです。支局としても、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと思っています。

2021.05.17