【卒業生寄稿】現場から地域の問題に取り組みたい

新潟県佐渡市岩首集落 地域おこし協力隊
岩首談義所 村山 凛太郎

私が大正大学 地域創生学部に入学した動機は、大好きな地元を盛り上げる方法を学びたいという思いでした。東京で地域経済を学び、かつ長期間の地域実習がある大正大学は、私にとって非常に魅力的でした。

高校生の時に参加していた学生ボランティア

学部1年生の地域実習で訪れた先は新潟県佐渡市です。私の記憶にある佐渡ヶ島は、小学校の修学旅行で「ただ楽しかった」というぼんやりとしたものでした。実際に訪れてみると、島の地域資源の豊かさ、何よりもスケールの大きさに驚かされました。

振り返ってみれば、この時すでに「佐渡ヶ島で何か挑戦したい!」という気持ちが芽生えていたのだと思います。

1年時の地域実習:佐渡市(佐渡市は、新潟県の佐渡島全域を市域とする市)

この地域実習をきっかけに、時間が出来れば佐渡ヶ島を訪れるようになりました。東京で佐渡をPRする会を開催したり、ツアーを企画したり、自分ができる範囲で行動していましたが、様々な問題に直接関わっていきたいという思いがますます強くなり、大学4年の6月頃から佐渡ヶ島での生活をスタートさせました。

お米の袋詰め作業

実際に生活し、生産者さんの取り組みに直接関わったことで、東京ではこれまで経験したことのないような感覚を覚えました。また、生産者さんだけでなく地域の方々との関わりも増えていくにつれ、自分の中での「地域活性化」の言葉の定義が大きく変化していくのを感じていました。そして、卒業後もじっくり時間をかけて地域の課題に取り組みたいとの思いから、佐渡ヶ島への移住を決意しました。

2021年4月から、佐渡市岩首集落で地域おこし協力隊の一員となり、現在は、集落で岩首昇竜棚田を起点とした地域活性化のお手伝いをさせていただいております。岩首集落は全国でもメジャーになりつつある「岩首昇竜棚田」※1があり、今なお、里山の暮らしを感じられる集落です。

※1
岩首地区の標高350mを超える山間に広がる棚田。江戸時代ごろから受け継がれたもので現在残る田んぼは460枚ほど。急峻な地形を活かしきる大小の変形田が、天空に昇る龍のようにつながっています。春先、水を張った棚田に朝日が差す光景は人々を魅了します。(佐渡棚田協議会HPより引用)

 

岩首昇竜棚田

佐渡ヶ島の棚田は約400年前、江戸時代初期ごろに金山の繁栄と共に開墾されました。かつて佐渡ヶ島に押し寄せた人々の食糧不足や資源不足を解消するために平地だけでなく山間地域まで新田開発が行われ、各地に棚田が誕生し、それぞれの集落ごとに独自の伝統文化を発展させていき、能楽や鬼太鼓などの独自の伝統文化の発展につながりました。今なお多くの伝統芸能を見ることができます。

時代と共に棚田や里山の暮らしは減少しております。特に棚田は、平地に比べて労力は2倍かかり、年々耕作されなくなっているのが現状で、岩首昇竜棚田も状況は同じです。

しかしながら、棚田はお米を作るだけではありません。棚田の景観によって、訪れた人はやすらぎを覚え、郷愁を感じます。今では、多くの人にとってのつながりの場、また交流の場として機能しており、魅力に溢れた「特別な場所」となっています。

今後も地域おこし協力隊として、岩首昇竜棚田の魅力を発信し、多くの方々に棚田を楽しんでもらえるよう取り組んでまいります。

佐渡ヶ島での活動

 

2022.01.17