導入~罹災証明コーディネーター~
皆さんは「罹災証明コーディネーター」をご存じだろうか。
内閣府は令和7年7月、罹災証明事務に関するマネジメント業務の経験を有し、発災時に被災市町村に対し必要な助言等を行う地方自治体の職員を登録する制度を発足させた1(概要は図―1のとおり)。

図―1 罹災証明コーディネーターの概要
制度発足から間もない令和7年9月5日、静岡県牧之原市及び吉田町で竜巻による大きな被害が発生した。両自治体の要請を受けて、9月9日に静岡県浜松市所属の罹災証明コーディネーターが派遣され、現地で精力的なマネジメント支援が実施された。さらに、石川県珠洲市所属の罹災証明コーディネーターが追加派遣され、通算2名の派遣が行われた。
その後、令和7年台風第22号・23号で大きな被害を受けた八丈町からの派遣要請を受けて、豊島区防災課職員を兼務している筆者が通算3人目の罹災証明コーディネーターとして派遣された経緯は、拙稿「台風被害を受けた八丈町への支援について~雑感~(https://chikouken.org/report/report_cat05/17947/)」でご紹介したとおりである。
さて、前の拙稿でお知らせしたとおり、いよいよこの度、台風災害を受けて八丈町で展開された罹災証明業務の実際について、八丈町税務課職員と東京都総合防災部職員の皆さんから生の声を聞かせていただく機会を設けることができた。
本稿では、その予告編を皆さんにお届けさせていただく。
2026自治体防災・減災ワークショップ(第1回)予告編
大正大学地域構想研究所は、自治体防災を巡るホットなテーマを取り上げて、自治体職員をメインターゲットとしたワークショップを年間4回ほど開催している。蛇足になるが、企画を担う筆者が自治体職員から研究者に転じたのは、罹災証明事務の全国的な標準化に貢献したいと考えたことがきっかけであった。そのため、罹災証明書に関するテーマは毎年欠かすことなく取り上げている。
令和8年度の第1回目となる今回は、「令和7年台風第22号・23号『八丈町での災害対応の実際~住家被害認定調査・罹災証明書発行~』」と題して、7月9日(木)の15時から2時間枠で開催する。
参加のハードルを下げるため、参加費は無料でオンライン(Zoom)での開催としている。開催日が近づいているが、直前まで参加受付をしているので、ご都合のつく方はぜひお申込みいただきたい。
お申込みついては、地域構想研究所HPに詳細を掲載しているので、ご参照いただきたい。(https://chikouken.org/topics/seminar_event/18309/)
当日は、いつものとおり、わが地域構想研究所の片山善博所長から開会あいさつをさせていただいた後、まずは八丈町税務課職員からご報告をいただく。
八丈町では、税務課が住家被害認定調査と罹災証明書発行の両業務を担当していた。一つの課が限られた人員の中で調査と発行を担当するのは大変なご苦労があったはずだ。疲れが顔ににじみ出ている時期もあったが、課長以下職員の皆さんは粘り強く困難な業務に取り組み、日々新たに生じてくる課題に対して、高いモチベーションを維持していた。
職員の皆さんにとっては、厳しい経験だったはずだが、その中で貴重な学びを得たことと思う。現場で苦労してきた職員として語られる率直な言葉から、参加者の皆さんは貴重な示唆を得ることができるだろうと期待している。
続いて、東京都総合防災部職員の皆さんから、応援する側からの経験談をお話しいただく。
八丈町の台風災害では、東京都が八丈町を全面的にバックアップしていた。その調整窓口として八丈町への伴走支援を行った担当者に加えて、八丈町に応援職員として派遣された職員から、率直な思いを語っていただくことを予定している。こちらも生の声を聞くことで、データや文字だけでは伝わらない学びを得ていただく機会になることを期待している。
以上、受援側・応援側から経験談をお話しいただいたうえで、登壇者に片山所長を交えてミニディスカッションを行う。災害時の自治体間の応援・受援について、参加者との質疑も含めて共に考える時間としていきたい。ディスカッションの進行は、筆者が担当させていただく。
おわりに
近年、災害の頻発化、激甚化が進んでいると指摘されている。
しかしながら、一つひとつの自治体に着目してみると、実際に被災し、対応した経験を有する自治体は必ずしも多くない。逆に、こんな災害は初めて経験したという被災地職員の声は枚挙にいとまがない。
つまり、自治体職員あるいは地域住民の多くは、被災経験を持っていないのである。
だからこそ被災地の生の声に耳を傾けることが重要だし、貴重な機会となる。
もちろん、八丈町での災害対応が何から何まで順調に進み、すべてが丸く収まったという訳ではない。それでも、実際に被災した経験を知ることは、自分たちが被災した時にどうするか考えるうえで重要なヒントを得る契機となるだろう。
このワークショップに多くの方が参加してくださること、そして受講者の皆さんの今後の助けになることを祈りつつ、紹介を終える。
1 内閣府記者発表・公表資料(https://www.bousai.go.jp/pdf/250718_siryo.pdf)


