実習で制作した「阿南人」をお届けしました

著者
大正大学地域構想研究所 地域支局研究員(徳島県阿南市)
鈴江 省吾

これまでの経過

2016年から始まった大正大学地域創生学部の現地実習(阿南市)では、1期生の冊子「新野人(あらたのじん)」をきっかけに、2期生が「新野人Vol.2」、4期生は地元企業の魅力を高校生に伝える「ミライ企業冊子」など、地域で出会った人たちを取材して記録に残してきました。
新型コロナウィルスの感染拡大で、リアルな実習は2年間中断しましたが、2021年度は「現地の人にインタビューして記事にまとめる」という企画を再現し、オンラインで取材した21人を紹介する冊子「阿南人」を発行しました。
そして、2022年10月。リアルな実習を待ち兼ねて阿南にやってきた18名の学生が先輩たちの意を引き継いで、「阿南人Ver.SDGs」を制作しました。

※冊子はコチラのボタンからダウンロード可能です⇒ 阿南人Ver.SDGs

インタビュー

今回はSDGsや環境保全活動に意識の高い事業者として阿南市が認定したESPA(EARTH SHIP PARTNER ANAN)の中から、学生の数と同じ18人を選んで、インタビューを依頼しました。3人ずつでチームを作り、相手の基本情報を調査した上で、聞き役、メモ係、写真撮影など、役割分担して取材に臨みました。最初は緊張気味でしたが、受け手の皆さんが積極的に発言してくれたおかげで、楽しくインタビューができました。

記事作成

「たくさん聞いた話の中で、読者に一番伝えたいことは何なのか?」「今回のテーマSDGsについて具体的な取組や該当する目標項目は?」「内容を示唆しつつインパクトのあるタイトルになっているか」など、一つひとつチームで話し合い、徐々に仕上げていきました。文字数や写真、レイアウト、取材先への原稿確認、校正作業など、印刷物を作る上で必要なポイントもしっかりと学ぶことができました。また、学生各々の個人テーマについても2ページにわたって調査内容を記載し、実習全体の成果がわかるように工夫しました。

完成した冊子でつながり広がる交流

冊子はようやく1月末に完成。このほど学生の代表者2名が阿南を再訪する機会があり、インタビューに協力いただいた18人に「阿南人Ver.SDGs」を直接お届けしました。
久々の再会に笑顔をかわしながら、取材の思い出話や冊子の出来栄え、活用について意見交換。学生からは「いっぱいお話をしていただいたのに全部紹介できなかったのが残念。皆さんが地域に強い愛着と誇りを持っていることがわかった。都会ではなかなか事業者の顔が見えない」「社会的立場の弱い人をどう支援するか・・農福連携のお話を聞いて、とても共感した」。事業者からは「私たちが知らない事業者の方もいてびっくり」「この冊子が県外に出た若い人が地元企業を知るきっかけになるのでは」「ぜひこれを機会に学生が阿南を再訪してほしい」「SDGsについて新たなアイデアを進めている」。その他、A Iの到来で変わる未来の働き方、大事なのは感性を磨くこと・・など、学生への教訓や期待が込められた「ひととき」でした。

学生代表 鷲田勝喜、須田萌子と事業者の方々

冊子の活用

「阿南人Ver.SDGs」は多くの方々に手に取っていただけるように市役所、図書館などの公共施設等に配布します。また、「阿南人」WEB版の運用も検討中で、阿南での暮らし、働き方、歴史文化、自然などの発信を通じて若者のU I Jターン等を促進していきたいと考えています。なお、本冊子の制作にあたっては「四国の右下」若者創生協議会の令和4年度「県南地域づくりキャンパス」事業を活用いたしました。この事業は徳島県南部圏域における交流人口の拡大や若者の発想、大学の専門的知見を生かした地域課題の解決を目的として、大学生によるフィールドワーク等を行なっています。

2023.03.01