地域実習で「阿南人Ver.富岡商店街」を制作しました

著者
大正大学地域構想研究所 地域支局研究員(徳島県阿南市)
鈴江 省吾

大正大学地域創生学部の地域実習とは

2023年の地域実習IIは10月2日〜11月3日の期間で「南三陸町、東京都、南魚沼市、藤枝市、御坊市、淡路市、阿南市、今治市、益田市、延岡市」の10地域で実施されました。「交流や対話を通じて地域に対する理解を深め、個人の関心テーマを明確にして就職やキャリアについて考えるきっかけになること」を目的としており、学生たちは基本的に2つの異なった地域で活動します。
阿南市では、前半10名、後半9名がそれぞれ2週間にわたって市内視察・農業やSUP体験・マルシェ出店など様々な体験をしましたが、今回最大のミッションは支局のある富岡商店街を調査し、気になる店舗を取材して紹介動画を制作することでした。これまで、1期生の冊子「新野人」を皮切りに「新野人Vol.2」「ミライ企業冊子」「阿南人」「阿南人Ver.SDGs」と地域で出会った人たちとの交流を記録に残してきましたが、動画制作は初めてのチャレンジです。

富岡商店街の取材&動画編集

最初にスマホで簡単に動画編集できるアプリの講習を受け、次にメディア編集経験者から取材のコツや注意事項を学びました。それから、思い思いに街へ出て気になる店を探します。富岡商店街は城下町として栄えました。大正時代には200以上の商店が軒を連ね、その後は駅の開通でさらに発展し昭和53年頃は歩行者天国になるほどの人通りでした。郊外に大型商業施設が立地してから空き店舗が増えてかつての賑わいはなくなりましたが、老舗の八百屋、菓子店、呉服店、最近ではカフェを誘致するなど若者や子育て世代が立ち寄れる個性的な商店街を目指しています。

動画アプリの研修

取材依頼のチラシ作成

学生たちは取材をお願いするチラシを作成してアポ取りを開始。「動画はちょっと・・・」と、断られる場合もありましたが、趣旨を説明して了解が得られたところからお店を訪問しました。インタビュー役と撮影係のコンビで取材を進め、支局に帰るとスマホと「にらめっこ」しながら音楽や画面切り替え、文字入れなど講習の成果を発揮して動画編集作業を続けます。
制作した20の動画から、店主と制作した学生の個性とが絡み合った絶妙の作品をご覧ください。

取材の様子

気になるお店を調査

(樹樹)
https://x.gd/6eGjB
(酒楽亭)
https://x.gd/rKJAp
(村田鮮魚店)
https://x.gd/b2VRWF

S N Sでの発信と拡散

前後半の実習終了後、東京に帰ってからも動画のブラッシュアップを行い、SNSのリール動画で毎日発信しました。興味を引くサムネイル画像を工夫した効果とも相まって、どの動画も平均1,000くらいの再生回数があり、最高は6,000を超える動画もありました(2月末現在)。

冊子「阿南人」の作成

SNS発信と並行して制作したのが冊子「阿南人Ver.富岡商店街」で、「商店街の歴史と今」「動画の店がわかるMAP」「店舗の基本情報と動画Q Rコード」「学生の編集後記」から構成されています。2月に学生4名が阿南のイベントに参加する機会があり、完成した冊子を店主の方々に直接お届けしました。今後、市役所や図書館など関係機関に配布して、さらに多くの人に商店街の魅力や学生の活動を知っていただきます。

まとめ

「インタビューをした商店街の方々をはじめ、さまざまな阿南の温かい人に触れ、充実した時間を過ごすことができました。実際に動画を制作してSNSで発信するという貴重な体験をさせていただきありがとうございました。」
「アポどりからインタビューを行い、動画を作るという内容は非常に濃いもので、普段の生活ではできない体験を阿南でたくさん行うことができ、すごく貴重なものとなりました。2週間では足りなかったものを探しにまた阿南に行きたいです。」
以上、2人の編集後記を抜粋しましたが、今回の一連の活動は学生にとってやりがいのある有意義な体験となったようです。アルゴリズムとも呼ばれるSNSの拡散力がなせる技なのかもしれませんが、学生が作った動画がこれだけ多くの人の目に止まったということは感動で、「商店街の魅力再発見」につながったと取材先の店主の皆さんや商店街組合からも称賛の声をいただきました。おかげで、支局が運営するinstagram阿南人もフォロワーを大きく増やすことができ、冊子と相まって、今後さらに本学の取組を多くの人に知ってもらえそうです。
なお、本冊子の制作にあたっては「四国の右下」若者創生協議会の令和5年度「県南地域づくりキャンパス」事業を活用いたしました。この事業は徳島県南部圏域における交流人口の拡大や若者の発想、大学の専門的知見を生かした地域課題の解決を目的として、大学生によるフィールドワーク等を行なっています。
最後に今回の動画・冊子制作に当たってご協力をいただいた全ての皆様にお礼を申し上げ、まとめといたします。

完成した冊子「阿南人」

商店街の岡澤理事長にお届けしました

2024.03.15