コロナで日本の職業はどう変化するのか、 今年の国勢調査の結果に注目

著者
大正大学地域構想研究所 主任研究員
中島 ゆき

今年は国勢調査100周年ということで、これまで以上にテレビやネット、車内吊り広告などでの案内を目にしているように思います。
メインキャラクターが愛らしい芦田愛菜さんということで、ついつい目がいきます!

節目の年ということもあってか、かなり早くからプロモーションを開始し特設サイトを開設するなど工夫もみられ、回収率の改善が期待されます。
是非、皆さんも調査への回答と同時に、特設サイト「国勢調査100年のあゆみ」も覗いてみてください。面白い情報がたくさんあります!
⇒令和2年国勢調査(回答サイトはこちら)

国勢調査で日本の仕事の変化をつかめる!

この国勢調査ですが、私共”地域”を調査・研究の対象とする者にとっては欠かせないデータの一つです。
私が最もよく利用しているのは産業・就業関連の項目です。
以前「平成で新たに誕生した職業」「消えた平成の職業」という記事を掲載しましたが、いずれも国勢調査のデータを使って集計しています。

ちなみに、前回の国勢調査(平成27年)で増加数の多かった職業、減少数の多かった職業は以下になっています。*
* 国勢調査各年度の産業・職業(小分類)別就業者数を(平成27年-平成22年)で算出。

各ランキングをみると、時代の変化を表していることがわかります。

例えば、増加職業ランキングの1位の介護職員の他、2位の「他に分類されないサービス職業従事者」はその具体的な事例をみるとわかります。占い師や便利屋、コインランドリー管理人、セラピストなど、“身近な暮らしの中のちょっとした困りごとに個別に対応するお仕事”というジャンルが並びます。皆さんも「最近増えたな~」と実感される分野ではないでしょうか。

高齢化、少子化という課題が表面化し、具体的な身の回りの生活にも大きく影響が出始めてきた2000年以降、こうした生活の中の個別ニーズへの対応が求められてきており、それに伴いそれらを解消するサービスを生業とした仕事も増えてきたという時代背景です。

ちなみにこの調査と集計の素晴らしいところは、自身の勤め先、業主、仕事内容を具体的に記述して提出する点です。これにより、規則的に機械処理できるもの以外で判別しがたい場合は専門家が記載内容を目視で確認し判断しているということ。これにより、個人の主観や思い込みによる間違った職業へ分類されてしまうこと防ぐことができます。そのため、自己申告制による分類では成しえない、より正確な労働力状態と産業・職業データを得られています。

コロナで日本の職業はどう変化するのか、今年の国勢調査の結果に注目したい

さて、このように、国勢調査のデータからは仕事をはじめ、さまざまな時代の変化を読み取ることができます。

今年は新型コロナウイルスの影響で、働き方にさまざまな変化が出てきています。今後の人生について見つめ直す一環として、転職やワーケーションといった言葉が多く使われるようになってきており、転職・起業を検討し始めた人も少なくないと言われています。
一方で、こうした傾向はまだ数値的に正確に捉えられていませんので、今年の国勢調査の結果は非常に重要になってくるでしょう。
ですので、皆さんも忘れずに国勢調査の回答をお願いします!

次回以降、国勢調査の集計結果を待ってwithコロナ時代の職業の変化を捉えた分析結果をご報告したいと思います。

2020.10.01