国勢調査より「平成で新たに誕生した職業」_前編

著者
大正大学 地域構想研究所 主任研究員
中島 ゆき

先月、全国小学生の「将来つきたい職業ランキング」でYouTuberが3位にランクインしたという調査結果が発表されていました(※1)。同調査は2010年から毎年実施されていますが、YouTuberが初登場したのは2017年8月調査で第4位、これで2年連続で上位にランキングされたということになります。YouTuberと回答した属性にはかなり特徴があるとのことですが、最も時代を反映した職業の登場といえそうです。

 

(※1)学研ホールディングス「小学生白書Web版」2018年9月調査より(ニュースリリース2019年2月20日より)

 

さて、前回は時代の変化、ライフスタイルの変化に伴い、職業も変化してきている実態として、「国勢調査から「消えた平成の職業」」を紹介しました。

そこで今回も、残りわずかとなった平成を振り返り「新たに誕生した平成の職業」を紹介したいと思います。

前回と同様にリストアップ方法は、国勢調査の職業分類の変化を追っていきます。平成2年の職業分類に存在していないもので、平成27年に存在している職業、すなわち「新たに誕生した職業」として一覧にしたものが(図1)です。
 

(図1)新たに誕生した平成の職業一覧

 
この表から、大きな傾向が2つ見えてきます。一つはIT系、心理職系、金融系の産業分野が拡大し業務内容変化によって生まれた新しい職業群。もう一つは、節約志向や高齢化、核家族化といった社会背景に伴う消費者ニーズの変化による新しい職業の誕生です。

また、「新たに誕生した職業」の特徴として、コンサルや企画、戦略といったいわゆる知識集約型が多いという傾向があげられそうです。

後編では、それぞれの職業が生まれた背景を、時代の変化と合わせてみていきたいと思います。

国勢調査より「平成で新たに誕生した職業」_後編

2019.02.27