令和3年度第1回防災セミナーQ&A
質問事項及び回答
Q1 罹災証明・台帳システムに関する質問
(1)システム導入は大きなメリットがあると思うが、コスト面などの課題も大きい。国が進めている住民税などの基幹システム標準化の中に盛り込めないか。
(2)質問者の自治体では、小規模な災害時は、罹災証明書の申請時に被災者から必要な図面・写真等の資料の添付を求めている。こうした場合にはオンライン申請は不向きだと思うが、IT上で何か解決方法はあるか。
A1 内閣府からの回答
(1)自治体の基幹系情報システムの標準化については、デジタル庁や総務省などによって推進されているところ。
この標準化は、自治体において、必要に応じて個別に機能のカスタマイズを行いながらシステムを構築している現状に対して、国が統一的な基準を策定し、当該基準に適合した情報システムの利用を求める取組である。
これに対し、内閣府において令和3年度中に構築予定の「基盤的クラウドシステム」については、約半数の自治体において被災者支援に関するシステムが導入されていない現状に対して、主に小規模自治体のシステム整備促進を目的としているものである。
(2)上記の「基盤的クラウドシステム」で想定するオンライン申請・コンビニ交付は、被災者の利便性向上や感染症拡大予防等の観点から整備する機能であり、申請・交付手続に関する選択肢を増やすものである。
一方で、IT上であらゆる申請を可能にすることは困難であり、ご質問のようにオンライン申請に適さない場合も生じることが考えられる。
実際の運用については、災害の状況等に応じて、各自治体において適切に判断していただきたい。
Q2 自己判定方式についての質問
自己判定方式(いわゆる写真判定)が実施されているが、損害率10%未満かどうかを写真のみで正確に判定することは困難であり、結果として二次調査が増えるなど、必ずしも「効率化・迅速化」にはつながっていない面がある。自己判定方式の有効性についての考えを伺いたい。
A2 内閣府からの回答
自己判定方式については、住家の被害が軽微で明らかに「準半壊に至らない(一部損壊)」に該当する場合において活用することで、調査を簡素化することができるもの。
実際の過去の災害においては、床下浸水や一部材の破損など、明らかに軽微な被害であると考えられる場合に活用することで、当該被災自治体における現地調査数を軽減し、被害認定調査業務の効率化を図った事例もあると承知している。
自己判定方式は被害認定業務の効率化・迅速化に資する選択肢の一つとして提示しているものであり、その活用については、災害の状況等に応じて、各自治体において適切に判断していただきたい。
Q3 非住家・併用住宅の調査に関する運用指針についての質問
災害時には住家のみならず非住家(店舗や事務所)も被災し、各種支援策を利用するにあたって、住家被害認定調査の手法を活用して被災証明書等が発行されている。
部位別構成比などが異なる非住家や併用住宅についての調査は困難を極めているが、非住家の運用指針についてのお考えを伺いたい。
A3 内閣府からの回答
店舗、空き家などの非住家や併用住宅については、住宅部分の被害の程度を把握するにあたり、「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」を参照し、住家の被害認定調査の手法を参考に調査を行っている事例もあると承知している。
一方で、なりわい再建支援補助金などの事業者向けの支援のための非住家等の被害状況の調査については、工場やオフィスなど、建築物の形態が多様であること、住宅部分以外の財産の損傷を評価する必要があることなどから、一様に非住家として運用指針を作成することは困難であると考えている。
Q4 ドローン調査に関する質問
ドローンは被害認定調査等の効率化に非常に重要な機器のひとつと考えるが、住宅地(DID地区)内の場合、届け出などが必要になる。災害時については、飛行規制等は緩和されるのか。
A4 事務局回答
ご指摘の通り、DID地区内(人口集中地区)でのドローン使用は事前に国土交通大臣の許可を受ける必要がある。
事例報告で取り上げた村上市は、DID指定されていない地域であったが、念のため、村上市の許可を得てドローンを使用した。
なお、国・地方公共団体の依頼によって航空機の事故その他の事故に際し緊急性がある捜索・救助を行う者は、事前許可を要しないこととされている(航空法第132条の3、施行規則第236条の9及び10)。そのほか、大規模災害発生時には、許可手続きが簡略化(電話申請等)される場合がある。