活動報告
2024.03.29
第5回「寺院における新型コロナウイルスによる影響とその対応に関する調査」結果報告
2023.12.06
第5回「寺院における新型コロナウイルスによる影響とその対応に関する調査」について
2023.05.10
「超高齢社会における寺院・僧侶の可能性」報告書
2023.03.24
第4回「寺院における新型コロナウイルスによる影響とその対応に関する調査」結果報告
2022.12.05
第4回「寺院における新型コロナウイルスによる影響とその対応に関する調査」について
2022.02.02
第3回「寺院における新型コロナウイルスによる影響とその対応に関する調査」結果報告
2021.12.15
第3回「寺院における新型コロナウイルスによる影響とその対応に関する調査」について
2021.02.05
第2回「寺院における新型コロナウイルスによる影響とその対応に関する調査」 結果報告
2020.12.07
第2回「寺院における新型コロナウイルスによる影響とその対応に関する調査」を実施いたしました。
2020.06.19
第1回「寺院における新型コロナウイルスによる影響とその対応に関する調査」 結果報告
センターの概要
BSRとは、Buddhist Social Responsibility(仏教者の社会的責任)の意味で、社会貢献活動だけではなく、これまで伝統的に行われてきた寺院活動の再評価も含めた概念です。当センターでは、日本各地に存在する仏教寺院を、文化、教育、福祉における地域資源とみなし、地域創生に寄与する寺院の社会参加の在り方を収集、分析をすることで、寺院の潜在的役割の見える化をめざします。また、広く社会へ発信することで、地域に根差した寺院の活動をエンパワメントしていきます。
活動趣旨
現在、日本では少子高齢化の中で地域力が低下し、各地において種々の問題が顕在化しています。地域における人材不足は、地域課題への対応が遅れるだけでなく、地域の空洞化や課題の複雑化をもたらす懸念があります。一方、日本には 7 万 7 千ヵ寺の寺院があり、これはコンビニエンスストア(約5 万 5 千店舗)をはるかに上回る数字です。また、本学は、天台宗、真言宗豊山派、真言宗智山派、浄土宗によって設立された背景を持ち、全国各地に寺院を基盤としたネットワークを有しています。
そこで、BSR 推進センターでは、寺院を核としたコミュニティづくりを推進することで、地域の実情に沿った多様な地域創生の実現をめざしています。これをふまえ、本センターでは、以下の研究開発事業を実施しています。
①Buddhist Social Responsibility(仏教者の社会的責任)の概念の下、日本各地に存在する仏教寺院を、文化、教育、福祉、防災における地域資源とみなし、地域創生に寄与する寺院の社会参加のあり方を収集、分析をすることで、寺院の潜在的役割の見える化をめざしています。
②これら成果をシンポジウム、研究員による講演などを通じ、広く社会へ発信することで、地域に根差した寺院の活動をエンパワメントしていきます。
外部資金による研究
① RISTEX「都市における援助希求の多様性に対応する公私連携ケアモデルの研究開発」
(平成28年度~平成31年度)
本研究開発は、孤立化が進み、市民の援助希求の適切な把握、介入、支援が困難になっている都市型コミュニティにおいて、市民の安全な暮らしをつくるための「公」と「私」の連携モデルを構築することをめざす。実施にあたっては、東京大学大学院医学系研究科、東京大学大学院工学系研究科、東京大学大学院人文社会系研究科、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター、上智大学グリーフケア研究所とともに共同で研究開発を進める。このうち、大正大学地域構想研究所BSR推進センターは、僧侶や寺院などの宗教者、宗教施設が、地域包括ケアシステムの一部として機能するよう、それらの潜在的機能の抽出を行い、多様な援助希求に対応する集いのモデルの生成を図るだけでなく、町会などの地縁組織とNPO、地域包括支援センター、社会福祉協議会との連携を促し、既存のセーフティネットの強化を担当する。
現在、研究開発は、平成31年度の社会実装をめざし、継続中である。
② 科学研究費補助金(挑戦的萌芽)「多死社会における仏教者の社会的責任」
(平成27年度~平成29年度、課題番号:15K12814)
本研究は、超高齢・多死社会を迎えた現代日本において、仏教者の社会的責任(BSR)をあきらかにすべく、関東地方にある高齢者福祉施設・医療機関10施設のケアスタッフを対象に、仏教的ケアのニーズを問う目的で質問紙調査を実施した(n=323)。その結果、仏教色を前面に出さない、傾聴中心の支援ニーズが高いことがあきらかになった。これは、一般的にスピリチュアルケアと呼ばれるもので、質的調査にもとづく先行研究を補強する結果となった。しかし、同時に、必ずしも宗教性が後景化した支援行為だけが求められているわけではないことも結果に示された。くわえて、自由記述欄を分析すると、ケア提供の条件次第で仏教色のある支援行為が施設内でも展開できる可能性があることがわかった。以上のことは、福祉資源の多元化を喫緊の課題とする現代社会において、仏教者の役割を検討するうえで重要な成果である。
また、本研究の実施にあたって、仏教学、宗教学、宗教社会学、社会福祉学、精神医学等の多領域の研究者が参加し、学際的な研究が達成された。したがって、今後主流となるだろう領域横断型研究の枠組みを構築したという点でも大きな成果を示すことができた。
③ 科学研究費(挑戦的研究(開拓))「超高齢・多死社会への新しいケア・アプローチ:地域包括ケアにおけるFBOの役割」
(2018-2022年度、課題番号:20K20336(2018-19は18H05317))
本研究では、地域包括ケアの一員としてFBO(Faith-Based Organization=信仰を基盤とした組織)が果たしうる役割と社会資源としての可能性を明らかにすることを目的といている。超高齢社会となった我が国では、認知症の人ができる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるための地域包括ケアシステムの構築が急がれている。地域の実情に合わせた取り組みがなされているが、地縁・血縁の弱体化、人口減など担い手不足が障壁となっているとも指摘されている。
そこで、本研究では、現段階では一般に資源とみなされていないものの、潜在力を有する組織として伝統仏教寺院・僧侶に焦点を当て、その社会資源としての可能性を可視化し、科学的な妥当性の検証を視野にいれたマルチメソッドによる包括的研究を実施する。そのために、宗教学、医学、心理学、社会政策学等の研究者による研究チームを構成し、学際的研究を行い、実社会に即応した研究を推進した。