【2025年6月5日】地方創生2.0に関する自治体アンケート調査

「地方創生2.0に関する自治体アンケート調査」結果の公表に当たり

昨年の石破茂政権の発足とともに「地方創生2.0」がスタートし、これについての国の「基本的な考え方」が昨年末に公表されました。そこには、これまでの地方創生(便宜上ここでは「地方創生1.0」とします)とは大きく異なる特徴を見出すことができます。
例えば人口問題について地方創生1.0では、国は自治体が主体となり、それぞれで人口が減らない方策を考えるべきとの姿勢でした。しかし、地方創生2.0では、人口問題を自治体に押し付けることなく、しかも、当面は人口が減ることを冷静に受け止めた上で、人口規模が縮小しても社会を機能させる適応策を講じるとの方針を打ち出しています。
これまで多くの自治体では、人口規模を縮小させないために、移住促進などに力を入れてきました。その努力に水を差すつもりはありませんが、所詮は全体として人口が減る中で、地域間が人口を奪い合うことにほかなりません。人口規模より社会機能の維持の方に重点を置く考えは現実的であり、賢明だと思います。
また、「基本的な考え方」では、これからの地域づくりについて、「若者や女性に選ばれる」という視点が強調されています。ジェンダーギャップやアンコンシャスバイアスの解消の大切さにもふれています。これらは若者の域外流出に悩む多くの地域にとってはとても重要な視点です。
このように地方創生1.0と比較して数段バージョンアップした地方創生2.0には、大きな成果が上がることを期待しています。ただ、そのために最も肝心なことは、自治体がこれにどういう姿勢で臨むのかということです。
そこで、いささか時期尚早のきらいはありましたが、取り敢えず現時点で自治体が地方創生2.0をどのように受け止めているか、これからどう対応しようとしているのかという点を把握したいと考えて実施したのがこのアンケート調査です。
また、自治体が具体的にどのような課題を戦略的に重要だと考えているか、そうした課題解決にはどのような人材が求められるか、それをどうやって確保し、養成しようとしているかなどについても、併せて調査しています。
調査結果からは、地方創生2.0への対応だけでなく、現下の自治体運営の実相の一端が読み取れると思います。それは地方創生2.0に取り組む自治体のみなさんだけでなく、地方自治や地域活性化に関する施策を練り、研究する方々にも有益な資料となるはずです。
最後になりましたが、アンケート調査を実施するに当たり、とても慌ただしい時期であったにもかかわらず、真摯にご協力いただいた自治体の関係者のみなさんには心より御礼申し上げます。

大正大学地域構想研究所 所長 片山 善博

調査概要

  • 調査期間/実施期間: 令和7年3月21日から令和7年4月30日まで
  • 調査対象: 全国の市町村および特別区(合計1,741自治体)
  • 調査方法:
    • 郵送にて案内(QRコードの回答フォームの案内)
    • WEBアンケート(Questant)
    • FAXおよびメールによる回答受付
  • 回収率

区分 回収数 自治体数 回収率(%)
特別区 12 23 52.2
270 792 34.1
169 743 22.7
43 183 23.5
全体 494 1741 28.4

地方創生2.0に関する自治体アンケート調査 結果報告

▶自治体アンケート結果【報告】ダウンロード(PDF)
▶自治体アンケート結果【調査票形式】ダウンロード(PDF)
▶プレスリリース(2025年6月5日)

(本体目次)

  • 1-1. 地方創生2.0への温度差
  • 1-2. 人口減少を前提とした政策立案へのスタンス
  • 2. 総合戦略はどこまで動いているか?
  • 3. 自治体が抱える課題
  • 4. 現場が求める研修とは?