2月22日(木)、大正大学1号館大会議室を会場に、地域寺院倶楽部シンポジウム「まちに開く、まちを拓く~地域とともに生きる寺院の姿~」が開催されました。
大正大学地域構想研究所・BSR推進センターでは、日本各地に存在する寺院を、文化、教育、福祉における地域資源とみなし、地域創生に寄与する寺院の社会参加の在り方を収集、分析を行っています。そして、関心のある方々を対象として「地域寺院倶楽部」を主催、会報として毎月『地域寺院』を刊行しています。
今回の地域寺院倶楽部シンポジウムでは、これまで『地域寺院』で紹介をした3人の僧侶・坊守に活動のご報告をいただき、これからの地域と寺院のあり方を参加者とともに考える機会といたしました。
シンポジストの1人目、榎本義法さん(天台宗金剛院住職・群馬県富岡市)は、お寺で早朝読書会を開催。お寺にどうやって檀家以外の地域の人たちに足を運んでもらうか、試行錯誤の末、たどり着いたのが読書会。僧侶も家族も無理をしては、長続きは難しくなり、なるべく主催側に負荷がない形での開催が肝のようです。榎本さん自身の趣味である読書を切り口に、寺院と地域の関係を構築している現在進行形のご報告でした。
2人目は鶴園恭子さん(浄土真宗本願寺派光明寺坊守・宮崎県高原町)。過疎化がすすむ町で、坊守さんならではの、地域見守り活動を行っていらっしゃいます。たとえば、住職がお葬式からお弁当を多めにもらってきたときなどに、一人暮らしやひきこもりがちのお宅におすそ分けと称して、届けに行く。それをきっかけに生活相談やお話し相手になる。そんなちょっとした日常のひらめきを、自然体でお話いただきました。
3人目の飯島俊哲さん(真言宗智山派海禅寺副住職・長野県上田市)は、檀家さんがお堂再建の寄付をしてくれたことをきっかけとして、そのお堂を中心としたお祭りを始めました。手作りのお祭りでは、出店してもらう地元の商店を一軒一軒まわって、依頼をし、お寺を中心に地域が一体となることを目指しているとのこと。今では年に一回のお祭りが定着し、町の人たちのハブになっているとご報告いただきました。
3人のご報告を受けて、全日本仏教青年会の前理事長・浄土宗雲上寺副住職の東海林良昌さん、立教大学社会デザイン研究所研究員の星野哲さんが、それぞれ僧侶の視点、一般の視点から質問・コメントをしてくださいました。コメントに対して、3人の発表者から、公的機関とどう連携を取るのか、継続する上での秘訣など、それぞれの地域・立場で得られた経験をお話いただき、他にもフロアからの質問にもお答えいただき、活発な議論が展開されました。来場者からは、「どうやるかと悩むより、思ったことを、まず実行ですね」、「机上の空論ではなく、実践から得られたノウハウでとても参考になった」といった感想をいただきました。
来場者も80名近くにのぼり、関心の高さがうかがえるシンポジウムとなりました。来年度も開催をする予定ですので、是非、多くの方のご参加をお待ちしております。