地域構想研究所 防災・減災プロジェクト

著者
大正大学地域構想研究所 研究員/防災科学技術研究所 客員研究員
佐藤 和彦

 大正大学地域構想研究所の防災・減災プロジェクトでは、去る5月9日、風水害時の被災者生活再建支援業務をテーマとして第2回防災セミナーを開催しました。
今回は、その結果をレポートいたします。

被災者生活再建支援業務とは

 市区町村職員の皆さんにとって「被災者生活再建支援業務」という用語は、まだ耳慣れない言葉であるかもしれません。

 本レポートでは、被災者生活再建支援業務を「避難生活の解消から生活復興を実現するまでの道のりを直接的・間接的に支える業務」* と定義します。

*「災害発生時における被災者生活再建支援業務の実施体制整備に関するガイドライン」(平成29年5月、東京都被災者生活再建支援システム利用協議会)

 より具体的には、1)災害によって被災した住家の被害程度を調べる「住家被害認定調査」を行い、2)調査結果に基づく「罹災証明書の発行」を行ったうえで、3)「被災者台帳」を整備してすべての被災者が生活再建を成し遂げるまで、“漏れなく、重複なく、継続的に”支援を行うプロセスの全体を指します。

 被災者生活再建支援業務は大変重要な業務ですが、平常時にはまず経験することがない業務でもあります。そのため、いざという時に円滑に実施するためには、日ごろから意識的に準備を進めておく必要があります。

 第1回防災セミナーについてのレポートでご紹介しましたが、総務省の調査では、全国の市区町村のうち被災者台帳システムを導入し、取り組みが進んでいると考えられる自治体の割合は、令和2年の時点で51%程度にとどまっています。

 第2回防災セミナーは、こうした市区町村の取り組みを促進する一助として、出水期を迎える季節に合わせて、風水害にスポットを当てて開催しました。

第2回防災セミナーの開催結果

 第2回防災セミナーは令和4年5月9日、Zoomによる完全オンライン方式で実施しました。

開催パンフレット

 当日の参加者は、大正大学連携自体6自治体(11アカウント)、その他の4自治体(7アカウント)、その他の参加者21アカウント、合計39アカウントの参加を得ました。1アカウントで複数人が視聴したケースを含めて、参加者は延べ50人程度と推計しています。

 当日は、今年4月に就任した片山善博地域構想研究所所長の挨拶、内閣府の大臣官房審議官(防災担当)内田欣也様の挨拶で幕を開けました。

(1)基調講演

 基調講義1では、今春の人事異動で着任したばかりの職員の方が受講されることを想定し、国の最新動向について情報提供をお願いしました。

 まず、内閣府の辻野満参事官補佐(被災者生活再建担当)に、4月に内閣府から全国の自治体向に向けて発出されたばかりの「令和4年度における被災者支援の適切な実施について」(府政防第788号、令和4年4月22日)の要点解説をお願いしました。

 内閣府の通知は多岐にわたる内容となっていますが、その中から、避難所でのコロナ対策、避難行動要支援者の個別避難計画、災害救助法の積極的適用の検討、住家被害認定調査及び罹災証明書発行の円滑化などの重要なポイントについて解説していただきました。

 併せて、4月から運用が開始された「クラウド型被災者支援システム」について、内閣府参事官補佐(防災デジタル・物資支援担当)の坂崎有理様からご紹介いただきました。

 市区町村の被災者台帳システムの整備状況が半数程度にとどまっていることから、国として普及を支援するために開発されたシステムであり、平常時の避難行動要支援者名簿・個別避難計画の台帳から災害時には被災者台帳、罹災証明書のオンライン申請・コンビニ交付までシームレスに活用できるシステムであることなどについてご紹介いただきました。

2022.06.01