【卒業生寄稿】南三陸に魅せられて

一般社団法人南三陸町観光協会
旅行企画部門
横川裕紀

南三陸町は母方の実家が隣町にあるので、震災前から海水浴で訪れたことのある町でした。

震災の半年後に祖父母に連れてきてもらった町の状況は今でも覚えています。

その後は足が遠のいていたのですが、震災から5年後、偶然入学した大正大学が南三陸町と深い関わりがあると知ってからは、ボランティアサークルを通じて毎年訪れるようになりました。

5年ぶりに訪れた南三陸町を見たとき、復興の進み具合に驚きました。津波によって陸に上げられ民家に引っかかったままの船や建物の上に乗って放置されていた車、タイヤが大量に積み上げられていた町は盛り土の工事が進み、道路が整備されていました。地域の語り部の方、またボランティア先の方が皆「前を向くしかない」と口をそろえて仰っていて、精神的な強さを感じました。

震災復興祈念公園の桜

小さいころから宮城が大好きでいつか住みたいと思っていたのですが、毎年来るたびに復興を遂げていく南三陸町には特に魅力を感じていました。

新卒で地元埼玉の企業に入社をしたのですが、新型コロナウイルスの影響で外出が出来ない中、好きな土地で生きていきたいという思いが日に日に強くなり、社会人2年目に南三陸町への移住を決めました。

私が働いているのは南三陸町の観光協会です。南三陸町がさらに発展していくためには町の観光や震災を風化させないことが必要だと思い希望しました。震災から10年が経ち、町は地域差があるものの着実に復興が進んでいます。週末になるとさんさん商店街サンオーレ袖浜に多くの人が訪れるようになりました。

私の所属は旅行企画部門です。主に教育旅行の受け入れをしています。
被災した町を歩く「復興ツアー」には、「まちあるき語り部」や浸水エリアをまわるバス案内などがあります。また、コロナ禍で来町が難しい方向けにオンラインでの震災語り部講話①私が体験した東日本大震災運営者が語る避難所生活も行っています。

南三陸町の魅力は海と山が近くてどちらのアクティビティーも楽しめるところだと思います。海に行けばSUPやカヤック、そして山に行けばハイキングや山菜取りが楽しめます。

自然体験活動指導者研修にて

思いついたらすぐに海に行って遊んで、夜は砂浜で星空観察ができる環境は、埼玉県の大宮で生まれ育った私にとって新鮮です。また、実際に住むまで、ホヤが美味しいことも野生の雉がいることも、鮭が遡上してくる土地であることも知りませんでした。毎日の生活は楽しく、充実した日々を送っています。

南三陸町=被災地という印象はいまだに強いと思います。実際、復興が完了しているわけではありません。しかし、私はこの町で生活していく中で、震災を経験してもなお前を向いてこの町で生活している方々に日々パワーをもらい、移住前よりもより多くの魅力を感じるようになりました。

防波堤から海を眺めて

今後も、これまで来町したことのない人にも「行ってみたい!」と思ってもらえるよう南三陸町の魅力について発信していきたいと思っています。

これからも楽しく、一生懸命仕事に励んでいきます。

2021.10.01