益田市教育委員会 ひとづくり推進監
大畑伸幸
平成29年、大正大学地域創生学部の地域実習(7名・40日間)を益田市で受け入れることとなり、その一期生として、青山さんが益田市にやってきました。益田というフィールドで、多様な世代と「つくる」活動を体験してもらいたいという思いで、私もこの一期生の益田での活動に関わらせていただきました。
打合せの時間や服装のことなど、厳しく指導させていただくこともありましたが、ゴールを目指して必死に活動を創っていく姿が、とても頼もしく見えました。益田での青山さんの活動を起点として、子どもから高齢者までがつながり、元気に活動に参加していく様は、益田市の推進する「ひとづくり」施策とも一致し、これから目指すまちのイメージが膨らみました。
青山さんは、現在その「ひとづくり」施策を中心的に担う、本課の職員として、市役所人生をスタートさせています。これも、地域実習からの素晴らしいご縁ではないかと感じています。
今回は、青山さんの成長した姿をご紹介いたします。
益田市教育委員会協働のひとづくり推進課 主事 青山咲季
益田に移住したきっかけは、大学1年と3年の地域実習です。1年のときに初めて益田市を訪れました。そのときに、豊川地区の通学合宿という行事に参加したのですが、子供たちが親ではない地域の大人に普通に話しかけ、一緒に遊んでいる姿を見かけて衝撃を受けました。この光景は、子どもも大人も、何度も地域で顔を合わせて活動しているからこそ見られるのだと気づきました。
⇒とよかわの未来をつくる会
地域での活動に興味を持ったので、3年生の地域実習でも益田市を訪れました。北仙道地区の公民館を頻繁に訪れて行事や会合に参加し、実習の終盤には、地域の方の協力を得て、ちょっとした交流会を作ることができました。それに加えて、ひとづくりやライフキャリア教育に関わる現場に飛び込ませてもらいました。1年生の頃は、こうした取り組みを地域回帰の視点でしか捉えていませんでしたが、自分らしく生きていく力を育てていくためだということも学びました。実際に地域で育てられ、活動している中高生は、自分なりの「こんな人になりたい」について熱を持って話すので、鳥肌が立つほど感動します。
4年生になると、地元の市役所や民間企業で就職活動を始めたのですが、面接で出てくる自分の言葉が本心ではない気がしていました。選考になかなか通らずに悩んでいたとき、地域実習の経験を学生時代の思い出だけで終わらせてしまうのはもったいないことだと気づきました。公民館、地域活動、ひとづくり、ライフキャリアなど、益田で学んだことにもっと関わり続けたいと思い、益田に移住することを決めました。
益田市職員としてのこれから
今年の4月に無事採用され、益田市教育委員会協働のひとづくり推進課に配属されました。3年生の実習のとき、ほぼ毎日通っていた課です。現在は、主に公民館と図書館に関する業務を担当しています。実習で学んだ「地域の中で人が育つ」視点を持った仕事をしています。
学生時代には公民館で開催される行事や会合に参加するだけでしたが、実際に働いてみて公民館という施設がどのように運営されているのか見えてきたこともあり、公民館で働く方に目を向けられるようになったと思います。公民館職員さんから教わることばかりでしたが、働き始めてからは、私から情報を発信することも増えました。
図書館については、学生時代に訪れる機会が少なかったので、公民館以上に初めて知ることの連続です。益田市の図書館は本を貸し借りするだけでなく、地域の人が集まる場所にもなるので、図書館への思いを持ったたくさんの方と関わって仕事をしています。
休みの日には、自転車に乗ってあちこちに出かけています。地元にいた頃は、晴れた日に家に閉じこもっていても平気でしたが、益田で抜けるような青空を見ると、外に飛び出したくなります。日本海、赤瓦の屋根、高津川など、益田ならではの美しい景色を眺めるのが大好きです。車が買えるようになったら、森林浴をしたり紅葉を見に行ったりしたいと思います。あとは、タケノコやジャガイモを掘りに行かせてもらったことがあります。おかげで、タケノコを茹でたり、ポテトサラダやじゃがいも餅を作ったりと、料理のレパートリーが増えました。実家ではほとんど料理をしませんでしたが、今は作ったことのない料理にチャレンジするのが楽しいです。
益田に移住し、仕事を始めて3ヶ月が経ちます。慣れてきたこともありますが、分からないこと、上手くいかないことがまだまだ沢山あります。なので、できることを増やしたい、一度経験した仕事はより上手にできるようになりたいと思いながら働いています。初めての仕事に取り掛かるときには不安もありますが、できるようになること、新しく知ることが増えていくのが嬉しいです。公民館で色々な活動をしたい、図書館を盛り上げたい… 私が知っているだけでも、益田には熱い思いを持つ人がたくさんいます。そんな方々が安心して思いを行動に移せるように仕事をしていきたいです。