兵庫県淡路支局
山中昌幸
2020年4月5日に開設された大正大学地域構想研究所淡路支局活動をご報告いたします。
淡路ラボ構想の策定
淡路支局開設2日後の2020年4月7日に緊急事態宣言が兵庫県に発令され、当初予定していたセミナーや公開講座などの活動が大幅に制限をされていました。
しかし、活動ができないのであれば、まず「私自身がじっくりと淡路島を体験することに集中しよう」と考えを切り替えて、淡路島の食・自然・歴史・文化を体験しながら、地域のニーズや強み、地域資源について検証を進めました。
そして、これまで、私自身が若者と企業を繋ぐ長期実践型インターンシップをコーディネートしていたことから、島外の若者、特に学生とこの地域で新規事業に挑戦したい事業者や企業とを繋いで新しい価値を創る未来共創型プラットフォーム「淡路ラボ」の構想に至りました。
淡路ラボの活動内容
2020年9月2日に淡路ラボの活動を正式に開始し、これまでに12のプロジェクト(6月15日現在)の創出・支援を行っています。例えば、約1800年前の遺跡が見つかり国の史跡になっている五斗長(ごっさ)地区では「主力商品である玉ねぎの主要販売先であった飲食店がコロナ禍により休業、販売数が激減しそうなので、何とかしたい。」との相談がありました。そこで、ECサイトの運営会社を紹介し、またサイト運営スタッフとして学生を参画させたところ、ECサイトでの新玉ねぎの販売は、約2週間で500箱を完売するに至りました。
五斗長地区で全国の学生とオンラインで繋いで、玉ねぎの販売アイデアを考える。
そのほか、VRを活用したプロジェクトや、島内に二軒しかない造り酒屋のECサイトによる販売支援、島の良質な土を使った建材会社の新商品のマーケティングプロジェクトなどがあります。
① |
淡路VRステーション プロジェクト |
淡路の魅力的な風景等をVR撮影しyoutubeで配信中。 |
② |
インターネットラジオ プロジェクト |
現役大学生プロデュース、若者向けに新しい生き方や働き方を素敵なゲストとの対談を通してインターネットラジオで紹介。 |
③ |
五斗長まるごと玉ねぎプロジェクト |
約1800年前の弥生時代後期の史跡がある五斗長地区の特産品である玉ねぎの販売を通して持続可能な地域づくりを目指しています。 |
④ |
大正大学 香りプロジェクト |
淡路島の特徴である花やお線香など「香り」のスペシャリストと大正大学がコラボして、新たに商品の開発を進めています。 |
⑤ |
郡家活性化プロジェクト |
空き家をサテライトオフィスにする構想など伊弉諾神宮と深いご縁がある地域の活性化を行っています。 |
⑥ |
リトリート型ワーケーションプロジェクト |
ワーケーションにリトリートを取り入れ、新たな生き方、働き方を提案しています。 |
⑦ |
淡路島と世界を繋ぐプロジェクト |
淡路島にとっても淡路島に来た外国人にとってもwin-winとなるようなインバウンドを増やすことを目指しています。 |
⑧ |
淡路島日本遺産プロモーションプロジェクト(仮名) |
淡路島日本遺産をVR等で発信するプロジェクトを予定しています。 |
⑨ |
漆喰プロジェクト |
漆喰や淡路島名産の土を使った日本の伝統壁による心や体に優しい自然素材の良さを若い層に伝えることを目指します。 |
⑩ |
渦潮を世界遺産にするプロジェクト |
鳴門海峡の渦潮を世界遺産にする活動を通して、自然の雄大さと環境保全の大切さ両面を次世代に伝える。 |
⑪ |
社会デザイン教育プログラム開発プロジェクト |
建設業の強みを活かした淡路島の地域デザインの面白さや学びを高校生向けに伝えるプロジェクト |
⑫ |
日本酒を次世代に伝えるプロジェクト |
手作りの日本酒の良さや技術や文化を次世代に伝えていくプロジェクト |
今後について
2021年1月、「淡路ラボ」は兵庫県で初めて大阪・関西万博の共創パートナーに登録されました。現在、2025年の大阪・関西万博までに100のプロジェクトを創出支援することを目指しています。
2021年1月31日神戸新聞に掲載
活動資金の確保、良質なプロジェクトを生み出すコーディネーターの確保などの課題はありますが、地域のイノベーション・エコシステム*の構築を通して、新たな地域創生の実現を目指し、みなさまと共に、『古事記』にも記されたこの「国はじまりの淡路島」から世界の未来を創っていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いします。
*地域イノベーション・エコシステム
「地域イノベーション・エコシステム」は、地域の成長に貢献しようとする大学のコア技術等を核に、社会的インパクトが大きく、地域の成長とともに国富の増大に資する事業化プロジェクトを推進することで、日本型イノベーション・エコシステムの形成と地方創生を実現することを目的とする。(参照:文部科学省地域イノベーション・エコシステム形成プログラムから)