「プロジェクトつなぐ」第1回企業研究会を開催しました

平成29年5月31日(水)、地域構想研究所では、地域創生にご関心のある企業にお集まりいただき、「企業と地方自治体による地域創生の可能性についての共創研究-新しい暮らし方・働き方を求めてー」(通称「プロジェクトつなぐ」)の第1回の企業研究会を開催しました。

研究所の研究事業の一つである「プロジェクトつなぐ」では、企業と当研究所が連携している地方自治体が、企業と地方自治体の連携協働による地域創生の可能性等について研究する場を設けるとともに、個別企業と個別地方自治体の連携協働による地域創生の取組の社会実装を目指しています。

初めに、当研究所の金子順一教授より、①このプロジェクトでは、大都市圏の企業活動と自治体における地域創生の取り組みをマッチングさせ、双方の協働により互いにメリットを引き出せるWin-Win関係を構築することを目指しており、連携自治体と直接に対話を進め、協働の具体化を模索してほしいこと、②企業と地方をつなぐことに関して、企業サイドに立った整理としては、(a)新たなビジネスチャンス、(b) CSR活動の展開、(c)ダイバーシティマネジメントの3つの流れで整理していること、③(c)については、ダイバーシティマネジメント、健康経営、ミドル層(ボリュームゾーン)の処遇と活躍という企業の人材活用上の課題について、「地域へ人の流れをつくる」という文脈の中で解決の選択肢を提示できないかという問題意識を持っていること、④今後の予定としては、7月8日に連携自治体との交流会を、秋に自治体の視察会を行いたいと考えていることなど説明がありました。

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金子順一教授より、研究事業概要についてのご説明

次に、岡本義行(おかもとよしゆき)先生(法政大学地域研究センター所長、同大学大学院政策創造研究科教授、大正大学地域構想研究所客員研究員)から「地域と自治体の求めるもの-企業が拓く地域創生の可能性-」についてご講演いただきました。
岡本先生のご講演では、地域と企業の協働について考える際、何より重要となる地域のニーズについて、総合計画の策定で関わった岡山県鏡野町をはじめ、地方や東京周辺の都市の例を挙げてお話しいただきました。①鏡野町の総合計画策定においては、住民を対象としたヒアリングやアンケート調査をきめ細かく行い、その結果を踏まえ、農業分野、教育分野、観光分野など広範囲にわたって住民のニーズに応じた具体的な提案を行ったこと、②自治組織「共和の郷・おだ」やNPO法人「かさおか島づくり海社」などでは、住民自身が連携協力し合って自治体のサービスの行き届かないところについて地域経営を行っていること、③台東区や日野市など東京周辺の都市において、インキュベーターやデザイナーズビレッジなどが設立され、起業やデザイナーの支援等新たな取り組みが行われていること、④道の駅では地元住民の日々の生活に役立つサービスをどれだけ提供できるかがポイントなっていることなど、豊富な実例を挙げていただきました。そうした実例を踏まえ、またヨーロッパにおける地域開発の取組とも比較しながら、住民・企業・自治体が互いに尊重し議論して問題解決することの大切さ、自治体と住民の意識改革の必要性、グローバル化対応による可能性の拡大などについてお話しいただき、企業と地域との協働による地域創生の成功例をどのように作っていけばいいのかの考える枠組みを提供していただきました。 

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講演中の岡本義行先生

ご講演の後、ご参加いただいた企業から多くのご質問やご意見をいただき、それに対して岡本先生からご回答いただきました。その後、参加者同士の意見交換や情報交換も活発に行われ、盛況のうちに研究会を終えることができました。

2017.05.31