大正大学文学部 歴史学科2年
中山 隼希
私は大学の掲示板で見つけた「石狩アグリケーション」という、週に5日間の農作業を行い、それ以外の時間は休暇としてローカルライフを体感するプログラムに9月8日から21日までの2週間参加してきました。
参加に至った経緯は2つあります。
1つは、従兄弟が現在農業をしており、農業は自分にとって身近な存在でした。農業の担い手の不足や低収入などの様々な状況を聞いていたので、今回のプログラムで援農が少しでもできないかと思ったからです。
2つは、私は地域創生学科ではなく歴史学科に属しており、「石狩アグリケーション」に参加してよいのかを考えていた時に、地域構想研究所の後押しがあったからです。
今回、私は北海道石狩市八幡地区にある「石狩高岡やさい倶楽部藤岡農園」さんのもとで農作業をさせていただきました。仕事は週5日行い、金曜日と土曜日が休日でした。
仕事内容はミニトマトの収穫を8時から12時まで行い、その後、午後からトマトの病気を防ぎ、栄養分の分散を防ぐための「わき芽をかく」作業、トマトの木の生長を止めさせるための「芯止め」作業、トマトが実の重さで倒れるのを防ぐための「誘引」作業、通気性を良くしてトマトの病気を防ぐための「下葉かき」を行っていました。
初めはどの色の状態が収穫できるのかなど分からずに時間がかかったり、トマトのヘタが取れてしまったり、ということもありました。
作業の様子
また、収穫以外の、芽を切る、枝を機械で固定する、など難しい作業はなかなか一人では出来ませんでした。困っていると農園の藤岡さん夫妻やパートの方々が優しく収穫のコツやサポートをしてくださり、そのおかげで3日目くらいから自分でできることが増え、余裕もできたのか仕事に対するやりがい、達成感が感じられるようになってきました。
農作業の合間、10時と3時に30分ほどの休憩、12時から1時間のお昼休憩があり、藤岡さん夫妻やパートの方々、同じ石狩アグリケーションの仲間とお話をしながら食事を共にすることで、親睦を深めることができました。
歴史学科の授業で常日頃、先生から「実際の場所に行き、現物を見る」ことの大切さを教えられていたので、休日は少し足を延ばし、札幌市の北海道博物館、開拓村、羊ヶ丘のクラーク像等を訪れました。
開拓使の歴史、アイヌの歴史は、これまで本などの情報でしか知りませんでしたが、博物館でアイヌの方々が実際に使用していたものの現物を見ることで肌に感じることができ、良い経験となりました。
私は石狩アグリケーションに参加をすることでこれからの生き方について価値観が大きく変化したと感じています。行く前までは大学を卒業したらスーツを着て会社に勤めることが当たり前の事であり、自身もそうなるのだろうと思っていました。
石狩アグリケーションに参加し、地域の方々との交流を通じて、農作業という仕事に、自然と共に生きる、人間の本来あるべき姿のようなものを感じ、こうした生き方もあるのだと教えてもらえました。
私はこれからの人生をこれまで凝り固まっていた価値観ではなく、より広い視野で進路を切り開いていこうと思っています。