大正大学地域創生学部での6年間は、私の人生を大きく変える転換期になったと、今この瞬間も、そして20年後振り返ったとしてもきっと思えるような、濃密な時間でした。
高校時代を島留学で過ごした私にとって、「地域」はもともと身近な存在でした。フィールドワークにも参加し、大人と地域の未来を語る経験もしてきました。だからこそ、大学で改めて地域を学ぶことに対して、「自分は少し知っている」という感覚がどこかにあったのも事実です。今から学べることが本当にあるのだろうか、とたかを括っていた部分もあったと思います。
しかし、その考えはすぐに覆されました。
大学での学びは、知識を増やすことではなく、「問いの解像度を上げること」でした。地域を見る視点が、経験から構造へ、感覚から理論へと広がっていきました。
筆者 新潟県南魚沼にて
大学3年次、私は一つの決断をします。
地域に本気で向き合うため、2年間の休学を選びました。
卒業が遅れる不安がなかったわけではありません。それでも、目の前にある挑戦を見過ごすことの方が、私には怖く感じられました。教室を離れ、新潟県南魚沼市に拠点を移し、地域おこし協力隊として活動を始めました。
地域の中高生向け探究プログラムの運営や、全国の若者と南魚沼市をつなぐ「ふるさとワーキングホリデー」の運営、さらに若者関係人口と地域企業をつなぐインターンシップの立ち上げなど、多くの実践の機会をいただきました。
この時間を通して実感したのは、地域と関わり続けるためには「現場」と「研究」という二つの軸が欠かせないということです。
現場に飛び込み、人と出会い、実践し、失敗し、また挑戦すること。
そして、その経験を客観的に問い直し、構造として捉え直すこと。
復学後の卒業研究では、「若者の還流における中間支援組織の役割と効果」をテーマに、これまでの実践を分析しました。なぜ若者は地域に関わり続けるのか。なぜ離れてしまうのか。心理的距離や継続関与、ネットワーク形成、役割の獲得といった観点から検証することで、感覚だけでは見えなかった仕組みが浮かび上がりました。
現場だけでは、経験に引き寄せられすぎてしまう。
研究だけでは、地域の温度を見失ってしまう。
この二つを往復する中で、地域を“変える”のではなく、地域の中で自分の役割を見つけていくという視点が育まれました。
大学での6年間は、単なる在学期間ではありませんでした。
それは、「地域に関わる」立場から、「地域をつくる」覚悟を持つまでの時間でした。
大正大学主催 地域社会の課題解決アイデア発表のコンテストにて
最優秀賞を受賞(2025年2月)
4月からは、南魚沼市で立ち上げた一般社団法人yukinowaとして活動を続けていきます。若者が挑戦できる環境を整え、地域の内と外をつなぎ、自然に役割が生まれる地域を育てていきたいと考えています。
雪国では、長い冬の間、地面の下で静かに力を蓄えます。
大学での6年間は、私にとってその“土の下の時間”でした。
これからは、その蓄えた力を社会の中で芽吹かせていきます。
支えてくださった先生方、仲間、地域の皆さまへの感謝を胸に、これからも「現場」と「研究」の両輪で、地域の未来に向き合い続けます。
地域おこし協力隊として所属 (一社)愛・南魚沼みらい塾の集合写真


