中小・小規模事業者をはじめとした人手不足に対応するため、新たな外国人労働者受入れの仕組みを構築する方針が打ち出されたことを受けて、開会中の臨時国会において、新しい在留資格の創設等を内容とする入管法の改正が大きな争点の一つとなっている。
本稿では、前回に引き続き、新たな局面を迎えた外国人と我が国の今後を考える一つの材料として、地方という軸から日本に住む外国人の状況をみる。
増加著しい技能実習生、留学生
まず、在留資格からみた外国人の人数の推移をみる。
在留資格のうち、国が就業を促進している「専門的、技術的分野」での就労を目的とする在留資格(「技術・人文知識・国際業務」、「経営・管理」、「技能」等の在留資格が含まれる)の外国人は、近年着実に増加している。また、「技能実習」、「留学」の在留資格の外国人は、特に増加が顕著であり、2017年は2012年のそれぞれ1.8倍、1.7倍となっている。
在留資格の中で最も割合が多い「永住者」は、人数としては増加傾向にあり、在留外国人全体に占める割合でいうと、ここ5年継続して約3割の水準を保っている。それに対し、戦後昭和の時代に在留外国人の大半を占めていた「特別永住者(注1)」は逓減している。平成の前半増え続けた「日本人の配偶者等」と日系人を中心とする「定住者」については、これらの在留資格において「永住者」の在留資格を取得する者が増えたこともあり、「日本人の配偶者等」は2015年まで減少し、その後横ばい、「定住者」は2014年まで減少し、その後は漸増に転じている。 (図1)
地方の産業を支える技能実習生
前回、ここ10年で在留外国人人口が最少であった2012年を100として、三大都市圏及び三大都市圏以外の地方圏の4つの地域(注2)に分けて外国人数の推移をみたところ、地方圏の2017年の外国人人口は2012年の1.26倍と、4地域の中で1.35倍と最も増加率が大きかった首都圏に次いで急増していることがわかった。この地方圏での在留外国人の急増の背景についてみてみるために、4つの地域それぞれについて2012年から2017年にかけての変化を在留資格ごとに追うこととする。
地方圏では、技能実習生が約6.9万人増え、増加のおよそ半数を占め、他の在留資格に比べて突出している。次いで、家族滞在等を含む「その他の在留資格」の外国人が約2.8万人、留学生が約2.7万人増加している。
首都圏においては「留学」、「永住者」、「専門的、技術的分野」の在留資格を持つ外国人がそれぞれ7.7万人、6.9万人、6.4万人増え、これらの在留資格の増加が首都圏への一極集中の主因となっている。
名古屋圏、大阪圏ともに、いずれの在留資格においても外国人数の増加幅は小さく、2万人未満となっている。名古屋圏では、「永住者」が1.7万人、技能実習生が1.6万人増えている。
大阪圏における特徴的な点は「特別永住者」が2.4万人減少しており、他の地域に比べその減少幅が著しいことである。大阪圏の増加としては、留学生が約2.0万人、「永住者」が約1.3万人増えている。(図2)
在留資格別に最近5年の外国人数の変化を追うと、各地域で特徴があることが明らかになった。地方圏での在留外国人の急増の背景には、技能実習生の激増があることがわかった。地方圏においては大都市圏にもまして人手不足が深刻化している。技能実習制度については、開発途上国への技能移転という本来の目的から乖離して、人手不足分野における労働力確保のための方策として使われているとの指摘がある。人手不足の産業を支えるために、現在においても既に多くの技能実習生が地方で働いていることが窺われる。