2024年度「地域戦略人材塾」を振り返って

著者
地域構想研究所
地域戦略人材塾 事務局

昨年5月開講の「地域戦略人材塾」(年間15講座)では、全国の約100名の自治体職員の方々にご参加いただきました。
その受講を振り返り、以下の皆さまからご感想をいただきましたのでご紹介します。

●地域戦略人材塾の多岐に渡る講義内容の中で私は、最初のガイダンスで市民課の受講を推奨されていた「ナッジ」の講義に特に関心を持って受講させていただきました。「ナッジ」の、ほんの少しの工夫で人々のより良い行動を促せば大きな効果が受けられる、という費用対効果が高い点がとても画期的で衝撃を受けました。
私の所属する市民係では、証明書のコンビニ交付を知らず、証明書取得のために来庁する方で窓口が混み合っていたのですが、市報に掲載したチラシをすべての窓口に設置したところ、他の手続きに来ていた市民の方々もチラシを目にしてコンビニ交付の取り組みを認知してくれました。あれはEASTフレームワークのうち「EASY」を活用したナッジだったのかもしれないと後から思いましたが、ナッジの講義を受講していなければそこまで深く考えは及ばなかったと思います。
「ナッジ」の他にも「フューチャーデザイン」や「スマートシュリンク」など、初めて学ぶ専門用語が多々あり、業務を行う中で一歩立ち止まり思考するきっかけとなりました。他の自治体の現状や考え方について、グループワークを通して聞けたことも大きな収穫のひとつです。今回たくさんの講義で学ばせていただいたことを、すぐに実践で取り入れることはできなくとも、今後他課で応用できるように日々研鑽を積みたいと思います。このたびは大変身になる講義を受講させていただきありがとうございました。

(南陽市 市民課 島崎 有紀)

●今年度から地域戦略人材塾を受講しました。これまで財政の業務に携わっていたため広いジャンルの情報に触れてきましたが、4年前の異動で窓口部署に異動となり、異動先では狭義な情報のみで、広いジャンルの情報は自ら取得しに行かないと取得できないと感じたからです。
窓口部署だけにナッジ理論は、大変参考になりました。具体的には、電子申請手続きを行っているものの、利用率が低いことが課題でした。そのため、来庁者等に配布する電子申請を呼び掛けるチラシにナッジの要素を取り入れたところ、感覚ですが利用率が増えたように感じました。

現在、窓口手数料のキャッシュレス決済の導入検討などを政策部局から求められています。近隣自治体ではキャッシュレス決済の導入により、日時の締め処理の時間が30分程度増加しており、課として時間外勤務の増加を懸念していました。そんな折、スマートシュリンクを学び、昨年の秋に若きリーダー(町長)が就任され、就任時にスマートシュリンクの必要性や「これまでのやり方を変えなければいけない」との訓示を受けました。窓口受付時間の短縮を実施している自治体もあり、課としての「キャッシュレスの導入と窓口受付時間の短縮の検討」の意見を集約し、庁内の課長会議にボトムアップ(提起)しました。結果はどうあれ人材塾を受講していなければ、提起はできていなかったと感じています。
次年度以降も自身の知見を広めるため、受講を楽しみにしています。

(みなべ町 住民福祉課 鎌倉 孝行)

●この1年間、「地域戦略人材塾」に参加し、自治体職員としての視野を広げる貴重な機会を得ることができた。人材塾では、講義の内容を深く理解するために、参加者同士で意見や質問を交わすグループワークを行っている。こうした対話を通じて、多様な視点を得るとともに、学びをより実践的なものへと昇華できたと感じている。
3回にわたる地域ブランディングの講義では、消費者心理などを学んだ上で、各自治体自慢の商品をプレゼンし、相互評価を行う「オンライン物産会」が開催された。阿南市からは、地元企業と高校生が共同開発したレトルトカレーを紹介し、嬉しいことに投票で1位を獲得することができた。講義で得た知識や地元の魅力を再認識できたことは、地域振興に携わる担当者として今後の施策立案に大いに役立つと感じている。
人口減少が進む中で、自治体職員の役割は多岐にわたり、求められる能力も高度化している。職員には継続的なスキルアップと広い視野を持つことが一層求められるだろう。人材塾で得た新たな視点や知識を活かしながら、今後も学び続け、自治体職員として成長していきたい。

(阿南市役所 観光交流課 高岡 亜由美)

●約10ヶ月間「地域戦略人材塾」に参加させていただきました。運営・ファシリテートメンバースタッフ、他自治体の参加者の方々ありがとうございました。
私は、奄美市の研修案内を通してこの研修を知り、カリキュラムの中に記載されていた地域活性化の先端的手法を学ぶというワードに惹かれ、昨年度この研修を受講しました。
「地方創生」というワードは今日メディアでも見聞きしますが、各回ともにインプット(具体的な全国各地の地域活性化の手法の紹介)だけでなく、アウトプット(グループワークを通しての意見交換)を続けて行えたことが今後に役立つ研修になったと感じています。ナッジ講義の宿題で自身の業務で活用出来ないかを考え発表した回は、1年の中でも印象に残った回でした。
来年度以降も、全国の自治体の方々とまた学んで行けたらと思います。ありがとうございました。

(奄美市 住用総合支所 市民福祉課 実 雄飛)

今年度も5月からスタートしますので、「地域戦略人材塾」にご興味のある方は以下のURLでご確認ください。
令和7年度『地域戦略人材塾』開催のご案内 | 大正大学地域構想研究所
https://chikouken.org/activity/activity_cat02/16353/

(地域戦略人材塾 事務局)

2025.04.15