新型コロナウイルスがもたらすデジタル化への加速

著者
大正大学地域構想研究所 教授
北條 規

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。本学の学事日程も大幅に変更となり、3月16日の卒業式は取りやめ、4月1日の入学式も5月に延期され、式典は中止し学科別の入学ガイダンスでの実施という措置が取られた。世界的な感染拡大は2月中旬以降、多方面に影響が広がっている。

先日、新潟県内の地場産業事業者チームによる成果発表の委員会に出席した。燕三条地域の金属加工の事業者チームが出展準備していたドイツで開催予定だった「ケルン国際ハードウェアメッセ 2020(3月1日~5日)」が突然中止になったそうだ。このメッセは欧州市場を中心に全世界からバイヤーが集う道工具の大きな展示会で、ジャパンパビリオンの中の展示ブース設営工事もほぼ終わった2月26日(日本時間)にキャンセルの連絡が入った。第一陣メンバーが渡独する前日のことだという。日本国内もそうだが世界の大規模なトレードショーもこの時期に集中する。地域産業の事業拡大につながる展示会、国際見本市が相次いで中止に追い込まれているだけに、我が国の国内市場が縮小している状況下、グローバルマーケットを目指す日本の産業への影響は計り知れないだろう。

また、感染の拡大、長期化が予想される中で、2020年の東京オリンピックパラリンピックの延期も決まった。政府は大会が開催される2020年は4,000万人もの訪日外国人を見込んでいたが、宿泊施設、観光施設、外食、土産といった観光消費は既に直撃を受けている。人口減少の日本にとってインバウンドによる消費を見込んでいただけに、観光地域づくりを推進する地域経済にも影を落とし始めている。

一方、このような新型コロナウイルスの影響で、国民の生活スタイルが変わりつつあるようだ。混雑を避ける時差通勤、会社に出社しないで自宅等で仕事するリモートワークなど企業の緊急対応の中で仕事のあり方が変化している。また、外出を自粛して自宅で待機する人が急激に増え、いわゆる「巣籠り需要」が生まれている。eコマース(電子商取引)など、家に居ながらのショッピング、教育分野でのeラーニング授業、医療分野ではオンライン診療、ネットを活用した動画やゲームなどのサブスクリプション(定額利用)のサービスへの関心も高まりつつある。こういった巣籠り需要によるオンラインビジネスは習慣化・日常化され、新型コロナウイルスの感染拡大が終息した後には新しい消費・生活スタイルへの移行が進む可能性もある。

世界は新しい時代に向かおうとしている。それが第四次産業革命だ。政府は狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新しい時代として超スマート社会を実現する「Society 5.0」を提唱している。IoTで全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値が生み出されるデジタル社会だ。新型コロナウィルスの猛威が生活、働き方を変え、Iot化・デジタル化に向けた取り組みが一層加速されるだろう。

さて、昨年の秋に連携自治体に案内を出した「商品開発室」がいよいよ新年度4月から始動する。公募した「新商品共同開発プロジェクト」には自治体からは要件や費用、開発分野、販路など様々な問い合わせも入り、産業支援政策との組み合わせ、地域ブランドとの関係性、地域内の座組みなど自治体の関心の高さがうかがえる。4月の商品開発プロジェクト協議会で専門家の方々の意見も取り入れながら、選考手続きを進めていく計画である。最終選考の結果はHP等で共有する。

2020.04.01