オンライン講義への切り替え

著者
大正大学地域構想研究所 専任講師
髙瀨 顕功

コロナ禍における大学の対応

新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、本学でも学生のために様々な対応がとられています。本学の動きとしては、まず、学事日程を後ろ倒しする―2020年度の開始を遅らせる―ことによって、5月11日より対面授業を行う予定でした。

しかし、感染は収束するどころかますます拡大し、緊急事態宣言も発出されました。キャンパス内でのクラスター化への対応として、非対面を基本とした授業へとさらに変更されました。学事日程も変則的に再編され、4月13日から4月24日は事前学修期間(授業期間:2週間相当)、5月11日から7月18日はオンライン授業期間(授業期間:10週間)、そして、8月31日から9月19日は対面授業(予定・授業期間:3週間)というかたちで2020年度は始まることになったのです。

一方、大学は新型コロナ対策臨時基金を開設し、オンライン授業に向けた学修環境整備のための給付金(一律5万円)の支給、家計が急変するなど困窮している学生に対して最大30万円の給付型奨学金の実施など、学生の学びを支えるサポートも行ってきました。

オンライン授業が始まり早ひと月が経ち、教員も学生も新たな状況に順応してきたように思います。そこで、一教員として、オンライン授業で行われていることとその雑感を備忘録代わりに記したいと思います。

なお、ここでの記述はあくまでも私個人の見解であることをお断りしておきます。

オンライン授業の形態

オンライン授業は大きく、通常の時間割通りに開催される「同期型」と、学生が好きな時間に聴講したり取り組んだりできる「非同期型」に分けられます。

「同期型」は、ZoomやMicrosoft Teams、Google Meetといったアプリケーションを利用して、リアルタイムで行うもので「同時双方向型」とも言われます。簡単に言うと、大勢でテレビ電話をするといったイメージでしょうか。教員はパワーポイントなどで資料を見せながら(自分が操作する画面を共有しながら)、授業ができます。お互いに顔を見て(映して)、ディスカッションをすることができますが、受講者が大人数ですと現実的には難しくなります。データ通信量は大きくなるので、通信量制限のあるスマホで受講している学生だと「パケ死」(高速データ通信量の上限を超え、通信速度が遅くなること)する可能性もあります。

「非同期型」は、学生の都合にあわせられるため「オンデマンド型」ともいわれます。資料や映像を配信して、それに応じた課題を提出させることで、授業に参加したことにするやり方です。配信する資料は、pdfのレジュメ、パワーポイントに音声を吹き込んだものやビデオ録画したものなどさまざまです。動画の配信はデータ通信量が大きくなるので、細かく分ける必要もあります。そもそも、アングルも場面も変わらない長時間のコンテンツは、見る側にとってはかなり大変です(収録する側もワンカットの長回しは大変だと思います)。

私の知り合いの先生には、YouTubeにチャンネルを開設し、授業動画を配信されている先生もいますが、雑音や生活音が入らないよう、収録場所や時間にはかなり気を遣われています。

教室に集まって授業を実施することが困難な状況では、オンライン授業のありかたは上記のいずれかのパターンに集約されるのではないでしょうか。同期型にせよ非同期型にせよ、多くの大学ではLMS(学習管理システム:Learning Management System)を通じて、授業情報(URL、ID、PWなど)や資料配布、課題管理を行っています。大正大学では、2年生以上にはT-po、1年生向けにはDACeポートフォリオと呼ばれるLMSを用いて連絡を行っています。

ちなみに、私はZoomMicrosoft Teamsを使⽤して「同期型」で授業を行っています。
パワーポイントや動画などを画⾯共有で映したり、チャット機能を使って学生の反応を確かめたり、あの手この手でメリハリがつくよう苦心しています。
また、授業の始めや終わりにはカメラをオンにしてもらい、「顔を⾒る」ということも⾏っています。

課題管理は、Google Formを用いてコメントシートを作成し、授業中にチャット欄にそのURLを貼り付け、そこからフォームに入力してもらうという方法を基本的にはとっています。Google Formは回答の提出時間も記録されるので、これであれば、その時間に授業を受けていたという証明にもなります(URLをコピーしてメールで転送されると出席していなくても回答できてしまうのですが、そこは学生を信じています)。

私を含めた多くの教員は、オンライン授業のためのツールの使用や映像作成のスキルに長けているわけではありません。完全でないにしても、授業開始までの短期間に一通りのスキルを習得し、日々悪戦苦闘している方が多くいらっしゃるのではないかと思います。

次回は、オンライン授業がもたらす大学教育のこれからについて私見を述べさせていただきます。

Zoomを用いた実際の授業風景(※プライバシー保護のため画像を加工しています)

2020.06.15