高校と大学、社会、3者の認識のギャップ

著者
大正大学地域創生学部教授
浦崎太郎

アクティブラーニング(以下、AL)に対する認識ギャップは
特に高校の現場で大きい

アクティブラーニング(以下、AL)に対する認識は、現状、高校と大学、さらに社会とでは相当なギャップがあり、特に高校のギャップは大きいと私は感じています。

大学や社会が期待しているALは、よほどの好条件が重ならない限り、高校では実現できないのではないかと思うのです。

ALを扱っている中央教育審議会の教育課程企画特別部会では、「新しい時代と社会に開かれた教育課程」について「社会とのつながりの中で学校教育を展開していくことは、我が国が社会的な課題を乗り越え、未来を切り拓いていくための大きな原動力ともなる」という方向性を示しています。

つまり、「社会とのつながりによる課題解決」がキーワードであり、その流れでALを以下のように定義しているのです。

  • 思考力・判断力・表現力等は、学習の中で、(中略)思考・判断・表現が発揮される主体的・協働的な問題発見・解決の場面を経験することによって磨かれていく。
  • そうした学習経験の中で活用することにより定着し構造化されていき、ひいては生涯にわたり活用できるような物事の深い理解や方法の熟達に至ることが期待される。
  • こうした学びを推進するエンジンとなるのは、子供の学びに向かう力であり、実社会や実生活に関連した課題などを通じて動機付けを行い、子供たちの学びへの興味と努力し続ける意志を喚起する必要がある。

自らが主体的・協働的に課題を発見して解決するとは、どのようなことなのでしょうか。簡単にいえば、我々が全く未知なものに出会い、興味や関心を持ち、知識を吸収し理解する。そしてそれを「活用・探究」していくということです。

5ステップのどこがALで求められているのかを知ろう!

そのプロセスを、マーケティングの世界でいうところのAIDCA(アイドカ) という理論とリンクして書くと、図表1のようになります。つまり活用とか探究というものは、高い段階まで進まないと現れてきません。つまり、それ以前に多くの布石が必要なのだということを理解しておく必要があるのです。

図1

図1

このプロセスに照らしてみると、大学や社会はステップ5を求めていることがわかります。しかし、高校では生徒の実態がなかなか伴いません。それゆえ、いわゆる進学校においてはステップ4ができれば上々、そうではない学校だとステップ3あるいは2までいければ上々。それが実態です(図表2)。つまり、高校で広まっているALと、世の中が本当に必要としているALには、このようなギャップがあるのです。

図2

図2

ギャップをなくすために何をすればいい?

今後は、こうしたギャップをなくすために、何をしていけばいいでしょうか。

まずは、教師自身が単に「ALを取り入れよう」ではなく、目標設定をこのステップに照らしあわせて設定していくこと、またそのカリキュラムがどういったステップに位置づけられているのかを外部に説明していくことも求められてくるでしょう。

そのうえで、基礎学力の強化を図る通常科目とALの連動をしていく必要があり、連動することで生徒の興味や吸収力、理解度(Stepの2~4に該当)は格段に上がりやすくなります。AL単体で考えるのではなく、通常科目との連動、さらには大学や社会との連動、それがALの持っている本当の活用方法ではないかと私は考えています。

 

2018.04.27