好奇心こそが地域創生の原動力

著者
大正大学地域構想研究所 地域支局研究員
鈴江省吾

四国最東端「阿南市」での地域実習も4年目となりました。乱雑な書き込みで真っ黒になった9〜10月のスケジュール帳を見ながら実習を振り返ります。

毎回、“ゆるーく”行こうと言い聞かせているのに、なぜか “まけまけ一杯”になってしまった実習日程。これは学生の“やる気”がなせる技か、地元の皆さんの“熱意”か、はたまた私の“使命感”なのか。それはさておき、1年生6人と3年生8人との濃―い42日間でした。

「第2の故郷を探しに来ました!」初日のキックオフミーティングでの力強い第一声は都会育ちのTくん。でも、駅もスーパーも工場もある・・・「中途半端な街ですね」とポツリ。田舎を夢見た彼には消化不良かと思いきや、「十日目ぐらいから“おやおや”ってなってきて、後半の新野キャンパスではまさに求めていた田舎人になれました」と最後は熱烈な阿南ファンになったようです。そんな彼は阿南のSWOT分析で中心的な役割を果たし、成果発表会のプレゼンは秀逸でした。

今回、1年生の最大のミッションは「地元企業を知ることが地域への愛着につながり将来のUターンを呼び起こす」という仮説に基づき、企業の魅力を地元高校生に伝える冊子を作成することでした。高校生とのワークショップで企業への関心が少ないことも頭に入れつつ取材を進めましたが、初めて知る業種やユニークな経営者の話に興味津々の毎日が続きます。特にN君は好奇心の塊で「これは何ですか?」「何でこうなったのですか?」「どうしてそう思ったのですか?」と質問の雨を降らせます(笑)。


 
さらにN君は行動力も持ち合わせます。地域の祭りでは神輿を先導する“天狗”役、地元のギター教室に飛び入り参加、竹林コンサートではパプリカ♫を踊って最後の決め台詞「明日にタネを蒔こう」を声高らかに決めました。


 
私は若者の好奇心こそが時代を創るパワーだと思います。N君が地域創生のリーダーになる日も近いかもしれません。(忘れ物が多いのが気がかりですが・・・)。24社の魅力を満載した冊子がまもなく出来上がります。

さて、3年生は個人テーマの調査研究がミッションです。「ちゃんと地域資源を見据えたものになっているか?」「協力してくれる地元のキーパーソンはいるのか?」何回もヒアリングを重ねましたが、やる気とテーマが合致する学生は次から次に新しい出会いや成果が生まれてきます。一方、考えすぎて行動できない学生は徐々に追い込まれて、そのうち手を差し伸べてもなかなか応えてくれない・・・毎年感じるジレンマです。でも、今回は実習の女神が微笑んで、最後は全員がしっかりと調査研究の成果を発表することができました。なかでも超行動派のFさんは1年次に仲良くなった地元の人脈を生かしてフル活動。ついには有識者を招いたSDGsキャンプへと発展し、市の広報誌でも掲載されました。また、釣りアングラーM君の竹林活用「軽トラ一杯3千円で引き取ります」は成果発表会で賛否両論のバトルとなり、現在若手グループが一攫千金を夢見て実践中です。


 
実習では体験と交流にも重点を置きました。新たな観光資源として売り出し中のSUP体験を始め、富岡西・神山高校、新野まちづくり団体、シームレス民泊協議会との交流、防災訓練への参加、お寺での朝勤行、光高校合宿所での生活など、ちょっとハードだったかもしれませんが、長期実習でなければ得られない貴重な経験となりました。

 
最後に1年生同士のプチ座談会での嬉しい一言を送ります。「たくさんの人といっぱい話ができていろんな課題もわかった。ヤバイって気づいて行動できる人が地域創生には必要だね、俺たちもそうなろうぜ!」

2019.12.16