地域解明の視点

著者
大正大学地域構想研究所所長
清成忠男

地域人口と平均年齢

わが国においては、地域の在り方は極めて多様である。それだけに、地域の構造を解明する視点があらかじめ明確でなければならない。そのためには、何らかの基準により地域の類型化を行っておく必要がある。

ただ、地域は歴史的に変遷しながら特徴が形成されていく。その場合、地域住民の意思や活動が明確であれば、地域は自ずと特定の方向に変化していく。

これに対して、地域の意志が弱く、行動が明確な目標に基づいていなければ地域の発展には限界がある。地域外に何らかの強い力が存在すれば、地域はただ流されていくだけである。

こうした地域の推移を顕著に反映しているのは、人口の動きである。地域の活動が活発でなければ人口は減少する。そして、人口の地域外への流出が進む。出生率も低下する。

人口減少地域においては、高齢化が進むから平均年齢は上昇する。

現在の日本においては、地域ごとに人口増加と人口減少が同時に進んでおり、その対照的な動きが際立っている。そして、平均年齢の上昇と低下も地域的に同時に進行している。つまり、逆方向の現象が同時に進んでおり、全体としては人口は減少傾向、平均年齢は上昇傾向にある。

人口減少下の日本

わが国の人口の平均年齢は、2000年には41.4歳であったが、2010年には44.6歳へと上昇し、2019年には47.0歳に達している。そして2030年には49.2歳へと上昇し、さらに2036年には50.0歳に達する見込みである。

こうした平均年齢を他の先進国と比較してみると、2013年においてはドイツが45.5歳、イタリアが44.3歳、スイスが42.0歳、オランダが41.8歳、イギリスが40.2歳となる。

これに対して日本は45.9歳であり、世界の首位にある。

このように、先進国はすでに高齢化が進んでいる。これに対して、アメリカと中国はいずれも37.4歳である。

とにかく、わが国はもはや人口増加国ではなく、人口は横ばいから減少に転じている。平均年齢も最も高い水準にある。社会が成熟化し、高度の知識が多様に集積されている。高度知識を集約した産業が蓄積されている。総じて生産性も所得も高い水準にある。

地域の活性化

ところで、地域別に見ると生産性が高く、所得水準も高い地域が増加傾向にある。他方、低生産性、低所得地域は縮小傾向にある。

高生産性地域は、大都市であり、高度の知識が多様に創出されている。大都市部には大学や研究所が数多く立地し、高付加価値商品が常に生み出されている。

地域活性化の主要な担い手は若年層である。若年層は新しい知識を次々に創造する。そうした若年層の活動を活発にすることが地域政策の目的になる。さらに、地域が自ら地域振興施策を策定し、自立を志向することが望ましい。自ら政策を実施し、成果を検証する。そうした活動の繰り返しによって、地域の政策力は向上していく。

要するに、全体社会が活力を有し、今後も伸びていくためには「脱成熟化」が不可欠になる。この場合、「脱成熟化」とは成熟社会に新興地域を数多く付加することである。こうした新興地域が増えれば増えるほど、全体社会の変革化が進む。そうした全体社会の変革の起動力は地域の若者の底力である。

革新的な活動は、可能な限り若者の力を活用することである。

 

2019.11.01