老いる「地域人」

著者
大正大学地域構想研究所所長
清成忠男

中央主導の「地方創生」

わが国は、長い間、中央集権・集中が全体的な特徴であった。それだけに地方分権・分散が提唱されてきた。この十数年を振り返ってみても、「地方の時代」論が政策的に提案され、一世を風靡した。

だが、「地方の時代」は現実には到来しなかった。そして、その次には期待を込めて「地方創生」が声高に提唱された。さまざまな政策手段が工夫されたが、「地方創生」は目立った動きにはなっていない。

その間に、人々はどんどん高齢化した。人口の平均年齢は2000年には41.4歳であったのが、2019年には47.0歳に達している。これは世界最高の水準である。

問題は、提案者にある。提案者のほどんどは中央の側に位置している。「外から」あるいは「上から」地方の振興が進められたのである。すなわち、必ずしも地域の内から提案されてこなかった。

地域の独自性

地域の振興は、地域の人々が担い手になる必要がある。内部からの強い意志によって地域のあり方が構想され、活動が推進されなければならない。

そして、可能な限り多くの人々が参加し、持続的に活動を推進することが不可欠である。つまり、地域振興は一朝一夕には成功しない。

また、自地域を他の多くの地域と比較し、独自性や特徴を確認していくことも大事である。地域振興は地域の強みを生かし、地域の弱点を克服することによってもたらされる。いわば地域の独自性は、自らの努力によって強化されるといっても過言ではない。したがって、どの地域においても、地域の独自性は存在しうるのである。

そうした独自性を確保する力が存在しなければ、地域はいつまでも弱体のうちに推移せざるを得ない。

地域の生存能力は、あくまでも地域の内発的な力に依存している。重要なことは、地域の人々が精神的に自立し、主体的に地域の振興に向けて努力することである。

具体的には地域に内在する資源を改めて確認し、その活用を構想することが重要である。こうした構想を繰り返し、精緻なものに練り上げていく。地域の内部に知的資源が不足している場合には、地域外の資源を活用すればよい。

地域構想の主体

地域の在り方を構想するにあたって、楽観論は許されない。構想の主体を冷静に確認しておくべきである。

地方の人口の高齢化は年々進んでいる。したがって、構想に参加する人々は、言うまでもなく多くは高齢者である。しかも、高齢化率はすでに諸外国に例を見ないほど高い。

2025年には、人口の平均年齢は48.3歳、老年人口の比率は37.6%に達する見込みである(生産年齢人口を20~69歳とした場合)。

さらにそうした高齢者層を支える財源も不安な状況にある。

そうした高齢者層が明るい未来を語り、その実現に向かって行動することがどこまで可能であろうか。若者へのバトンタッチが不可欠であり、かつ、若者の教育を重視しなければならない。それが地域力向上の王道である。

こうした王道を的確に開くためには、「地域人」の再組織化を図らなければならない。

 

2019.09.30