少子高齢化

著者
大正大学地域構想研究所所長
清成忠男

少子高齢化・人口減少

今世紀に入ってから、我が国においては人口は微増傾向をたどった。だが、その後は少子高齢化が続き、人口は2008年をピークとして減少に転じた。

地域別に見ても、大都市など人口が増加している地域が存在しているが、他方で人口減少市町村の数が圧倒的に多い。

しかも、こうした人口減少傾向は今後も続くと思われる。我が国は、他の先進諸国と同様に人口の変動から見るとすでに成熟社会に移行しているとみることができよう。

さて、人口減少社会の大きな特徴は人口の高齢化が進むということである。逆に言えば出生率の低下で若者の数が減少し、人口に占める若者の比率は低下している。同時に、人口に占める65歳以上の比率は2017年には27.3%に達している。そして2030年代には30%を超えると予想されている。

こうした人口減少と高齢化の進展は市町村によって大きく異なっている。大規模な都市においては、人口は総じて増加している。これに対して人口の小規模な町村においては人口減少が著しい。人口減少社会においては、しだいに高齢化率が高まる。したがって、社会福祉が政策の重要な課題になる。

高齢化と福祉

人口減少の著しい町村においては、高齢化が進展している。例えば高齢化が進み人口が減少している地域を挙げると、次のとおりである。

①福島県飯館村
②群馬県南牧村
③長野県天竜村
④奈良県川上村
⑤福島県金山町

いずれも人口は減少し、高齢者の比率は50%を超えている。

これらの地域においては、高齢者比率は高いから福祉に対する需要も拡大する。

それにしても、福祉の担い手が地域にとって不可欠になる。市民や専門家や自治体職員が経験を積み、活動のノウハウを取得するにつれ、地域ケアシステムが円滑に動くようになる。つまり、一つの面識集団の中で福祉が完結する。

地域ケアシステム

地域福祉のあり方は変化しつつある。若者が高齢者の活動を支援するのみならず、高齢者が高齢者を支援するという関係が広がっている。

地域においては、高齢者が高齢者を介護する、または高齢者が高齢者を看護するという状況が日常化する。

そうなると、地域ケアシステムを一つの制度として確立することが必要となってくる。

地域ケアシステムは、地方自治体が主要な担い手になって形成される。内容としては、介護システムと看護システムに大別できる。いずれも、専門職の人材が中心となって動く。

介護システムは介護が必要となっている高齢者に対して、専門職である介護士が介護を行う。また、専門職である看護師が高齢者に対して看護を行う。ただし、現実の介護や看護においては、専門職以外のさまざまな人々が活動の支援に参加する。

そして、こうした活動全体を地方自治体が統括し、援助する。地方自治体の内部にも、介護や看護に通じた職員が存在する。

したがって、地域ケアシステムは、広範な市民参加と行政の革新によって機能する。

 

 

2019.09.02