平成から令和へ

著者
大正大学地域構想研究所所長
清成忠男

連続性と非連続性

平成から令和へと元号が変わった。

だが、時代は変わるのだろうか。

歴史の変化には、二つの側面がある。連続性と非連続性である。時代が変わっても、状況には連続的な側面と非連続的な側面がある。連続的な側面とは、時代が変わっても状況には変化が生じない側面である。

そして、いつの時代においても、状況の連続性と非連続性が共存している。つまり、時代が変わっても、変化しない側面と時代とともに変化するという側面が同時に存在しているのである。

平成から令和へと時代が変わっても、両者の間には連続性と非連続性がともに存在している。問題は、何が変化し、何が変化していないのかである。

それでは、平成から令和への移行によって、何が変化したのであろうか。

確かに、気分は多少の変化が生じているのかもしれない。経済や経営の体制はほとんど変わっていない。これは当然の現象である。元号が変わったくらいで経済や経営の実態は変わらない。元号の変化で、ニュービジネスが登場するとしても、経済界に大きな影響を与えるわけではない。

変化への期待

今日のような成熟化した経済においては、実態はなかなか大きく変化しない。イノベーションも起こりにくい。それだけに、イノベーションに対して、少なからぬ期待が求められる。したがって、現状に挑戦する人材が各分野に数多く登場し、全体が大きく変化することが望まれている。

革新へのきっかけは、個別事業の革新である。個別事業の革新を少しずつ進め、革新の流れを全体の流れにすることが重要である。

革新的人材が増えれば、社会的に革新が革新を呼ぶという現象が生ずる。それが経済全体を活性化する。

時代の転換に当たっては、進歩を望まない気風や変化を回避しようとする態度を可能な限り抑え、事業の刷新を志す人材を積極的に登用することが重要である。

このような人材の入れ替えによって、組織内に革新の気風が生じ、拡大することになる。全体として革新的成長企業としての実態を内外に示すようになろう。

この場合、強調するべきは、。革新的人材の存在である。

そうした人材が企業内に存在しない場合には、外部から招致するしかない。いずれにしても、革新的人材の確保が極めて重要になる。そうした人材の教育や外部人材の活用が有効な手段である。

非連続こそイノベーション

経済社会の非連続性はイノベーションによってもたらされる。

つまり、イノベーションは既存の体制を破壊し、新しい体制を創造する。いわゆる「創造的破壊」である。

逆説的であるが、変化を引き起こすイノベーションが大勢の連続性を支えることになる。

現実の事業経営においては、連続性と非連続性の作用を見極め、両者を活用することが重要である。

変化の極めて激しい現代の経済社会に生き残るためには、こうした連続性の本質を理解しておくことが不可欠である。
さらに言えば、令和の時代には、経済社会に新風が吹き起こることを期待したい。

具体的には、元号が変わっても、デジタル化や人口減少社会への移行などが太い非連続性をもたらす。同時に、そうした非連続性が
新しい連続性を生み出す。こうした複雑な変化が現代の特徴である。

 

2019.07.16