時代の空気

著者
大正大学地域構想研究所所長
清成忠男

ありきたりの未来予想

いつの時代でも、その時代に特有の「時代の空気」が存在する。時代を切り開く意識、時代を支える心情、時代に対する満足感などが「時代の空気」を形成する。

平成時代の空気はどうか。成熟、安定、満足感、政治的無関心などが「時代の空気」に影響を与えている。

さて、政治家の政策についての本気度は必ずしも強くない。例えば、地方創生について見てみよう。

安倍首相は一月末の施政方針演説で、地方創生の今後の方針について述べた。「地方創生」の柱は「農林水産新時代」と「観光立国」である。

ただ、新時代と言いながら、ありきたりの未来予想を示しているだけである。平凡な予想であって、とてもビジョンとは言えない。したがって、言葉だけが滑っている。

本気度が見えない政策

首相曰く「平成の、その先の時代に向かって、若者が自らの未来を託すことができる『農林水産新時代』を、皆さん、共に、築いていこうではありませんか」。

今回の施政方針演説ではあらためて「農林水産新時代」を掲げて政策提案を行っている。だが、政策目標も政策の進め方も、いま一つ明瞭ではない。国民が期待するのは、まさに新時代を牽引する革新的政策ではないか。

また、首相はもう一つの柱として「観光立国」をあげている。観光立国によって全国津々浦々「地方創生の核となるたくましい一大産業が生まれました。来年の4000万人目標に向かって、海外と地方をつなぐ空の玄関口、羽田、成田空港の発着枠を8万回増やします」と述べている。

「観光立国」と言っても如何なる意味で観光立国なのかは明らかではない。ただ観光客が増えればよいのか。観光立国の理念や構想を何よりもまず国民に示すべきではないか。首相の政策についての本気度が問われる。

今日、多くの政治家の行動からは本気度が見えにくい。これも、「平成時代の空気」を反映しているように見える。

2019.02.28