東京一極集中の行方

著者
大正大学地域構想研究所所長
清成忠男

一極集中の国は多い

先進国でも、開発途上国でも、人口や経済活動の首都一極集中は珍しくない。

ただ、我が国においては、近代化や経済の高成長の過程で著しい東京一極集中が進んできた。こうした東京一極集中は我が国ではとかく特殊日本的な現象であると捉えられてきた。

具体的に、人口の動向を見てみよう。全国に占める東京の人口の割合は、昭和41年(1966)には11.0%と昭和時代のピークを記録した。翌42年からは東京への人口集中度は低下し続け、昭和55年(1980)には9.93%と10%を切った。その後も集中度は低下傾向をたどり、平成元年(1989)には9.65%に、さらに平成9年(1997)には9.35%と最低水準に落ち込んだ。

さて、翌年からは集中度は再び上昇傾向に転じている。平成20年(2008)には10.04%と10%の大台を記録した。最新の数値である平成28年(2016)は10.66%に達した。この20年間は一貫して東京への人口集中度は上昇してきたのである。なお、東京の人口は平成元年には1189万人であったが、平成28年には1351万人へと増加している。

疲弊からの脱却

ところで、他方においては総じて人口が減少している。

例外的に人口が増加しているのは、埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、沖縄県だけである。東京圏と生産活動の活発な愛知県、観光等で活性化している沖縄県など例外的に人口が増加している。

人口が減少している県においては、若者が流出し高齢者の比率が高まっている。こうした県においては、いわゆる中山間地域が多く含まれており、過疎化が進んでいる。多くの集落が消滅のおそれがあり、地域の荒廃が懸念される。

このように、東京圏と地方との格差が拡大している。だからこそ、地方創生が必要であり、かつ、重要なのである。しかし、高齢者比率の拡大により活力を失った地域においては、現実に地域創生が困難になっている。

国際的に見た首都集中

それでは、東京への人口集中は国際的に見るとどの程度か。

最近の首都への人口集中度は、ロンドン(イギリス)23.6%、ソウル(韓国)22.2%、北京(中国)15.7%、ベルリン(ドイツ)13.0%、パリ(フランス)12.8%のようになる。東京はその下に位置する。

つまり、現在における主要国の首都への人口集中度はかなり高くなっている。グローバル化の進展、交通手段や通信手段などの発達で都市集中が新たに生じている。

このように見てくると、我が国の東京集中は必ずしも過度集中であるとはいえない。

新しい動き

地方の振興にあたっては、新しい技術が強力な武器になる。

AIとIoTがまさにそうした技術である。AIで社会、生活、経済、教育など広範な分野で数多くの情報を創出し、IoTで情報の伝達を進める。そうした情報拠点を地域に数多く形成し、そのネットワーク化を図る。そのための人材は教育を通じて蓄積する。さらに人材については広く地域外に協力を求める。

そうした地方の拠点人材がまさに「地域人」なのである。いま、必要なことは「地域人」の役割やノウハウを明確にし、地域の知的能力を高めることである。これからは、人材が流動的に活躍する社会が到来する。それぞれの地域が有能な「地域人」を確保し、地域競争力を強化することが可能になる。

同時に、首都としての東京の都市機能を絶えず強化する必要がある。首都間の国際競争が今後ますます強まることが予想されるからである。

2019.02.01