少子高齢化と地域

著者
大正大学地域構想研究所所長
清成忠男

首相の所信表明

安倍晋三首相は、去る10月24日、今国会の所信表明において、少子高齢化対策を経済政策の軸足に置いた。
これまでも、たびたびの所信表明において首相は同様の主張を行なってきた。現在、我が国においては依然として少子高齢化が進んでいる。その結果、人口減少が続いている。
安倍首相は少子高齢化と人口減少を我が国の重大な危機としてとらえている。そして、それを防ぐ対策を講ずる必要があると考えている。したがって、これまでも様々な少子高齢化対策が取られてきた。だが顕著な効果はなかなか現れなかった。
そこで、今後どのような対策が取られるべきであろうか。衆知を集めることが重要である。

少子高齢化の進展

そもそも少子化と高齢化は別の現象である。両者を一体としてとらえるのではなく、分けて考えるべきである。
少子化は出生率の低下による子供の数の減少である。したがって、少子化対策は出生率を向上させ、子育てを支援することである。出生率を高めるためには、さらに所得水準の向上と長期にわたる教育の保障実現しなければならない。
これに対して、高齢者対策としては、全く別の政策が考えられる。まず、シニア層の雇用を増大することが重要である。そのためには、雇用制度全体を見直す必要がある。同時に、高齢者に対しては学び直し教育によって時代に適合した能力を身に付けてもらうことが必要である。いわゆるリカレント教育の実施である。また、高齢者の健康維持のために予防医療・介護を強化する必要がある。

少子高齢化と地方創生

少子高齢化は、全国的にみると一様に進んでいるわけではない。地域差が極めて大きい。
現在、我が国においては東京圏一極集中が極めて著しい。また、地方においても、大都市集中が進んでいる。これらの地域においては、人口が増加し、少子高齢化の進展は緩やかである。
これに対して、地方中小都市や農山漁村においては少子高齢化の進展が著しい。人口は減少傾向をたどり、地域の維持は困難になりつつある。
少子高齢化対策が緊急性を要するのは、こうした地域である。少子高齢化対策に政策の軸足を置くということは、地域対策の拡充にほかならない。まさに地方創生である。対策は地域のレベルで少子化と高齢化の在り方を的確にとらえ、地方自治体が地域の実情に適合した対策を開発する必要がある。したがって、対策は全国的に見れば、極めて多様である。
いずれにしても、地方自治体には高い政策策定の能力が求められる。問題意識と政策策定の連続的な達成を通して、現場の政策の策定力は自ずと向上することになろう。地方自治体には主体的な努力が求められる。

2018.11.29