大学進学率の地域差

著者
大正大学地域構想研究所所長
清成忠男

少子化の影響

平成30年度の学校基本調査が発表された。大学等の本年5月現在の教育状況が明らかになった。

例年、気になるのは少子化の影響である。高校卒業者数は前年比で1.3%の減少、大学・短大進学者数も1.2%減少した。ただ、大学・短大進学率(現役)は54.9%で前年同率で過去最高の水準を維持した。なお、専門学校進学率は22.7%で前年比0.3%上昇した。

大学・短大進学率の10年間の推移を見ると、54%超で伸びなやんでいる。現役の大学・短大進学率と専門学校進学率を合計した高等教育進学率は70.8%であり、すでに高水準に達している。

問題は、大学進学率の地域格差である。現在のわが国は、すでに超高齢社会、人口減少社会に移行している。同時に、人口の東京圏一極集中が進み、地域間格差が拡大している。こうした状況が大学進学率に影響を与えていることが考えられる。

大学進学率の地域的状況

それでは、大学進学率の地域別動向はどうか。大学等進学率の上位および下位5地域を見ると、次の通りである。

ただ、高等教育進学率となると状況はやや異なる。上位は京都府79.6%、神奈川県77.0%、東京都76.5%、大阪府74.4%。下位は佐賀県60.2%、鳥取県60.6%、山口県60.7%。全国平均は70.8%である。地域間格差はやや縮小する。

専修学校(専門課程)進学率の高い地域が、高等教育進学率を押し上げている。この点で目立つのは、新潟県25.7%、沖縄県24.5%、北海道21.8%、長野県21.1%である。

なお、沖縄県は、大学等進学率は異常に低いが、専修学校進学率は高い。教育需要がやや異なるのである。こうした教育需要の違いが、大学進学率の地域差に影響を与えていると思われる。

大学進学率地域差の原因

教育需要の地域差の根底には、経済事情が存在する。したがって、人口、所得、雇用機会などに注目する必要がある。経済活動の活発な地域には、人口が集中し、所得水準も高い。高度職業人に対する需要が強く、高等教育機関が多く立地する。こうした地域では、当然に大学進学率が高くなる。逆に、経済活動の活発でない地域では大学進学率も低くなる。こうした地域では、専修学校への進学率が高くなる傾向にある。

こうした視点から地域の状況を見てみよう。まず、東京圏(1都3県)であるが、人口集中は一貫して進んでいる。平成20年度においては、人口はほぼ3600万人に達し、全国の28.3%を占めている。また、県民所得では、全国の32.6%に達している。1人当たり県民所得は352万円であり、全国平均の305万円を大きく上回っている。その結果、大学等進学率は60%を超える高水準にある。学生数も全国シェアで40%を上回っている。企業も全国のほぼ4分の1が立地している。情報や金融等の中枢機能の東京一極集中はきわめて著しい。雇用の機会を求めて、大学生は東京に流入する。

いずれにしても、地域の経済活動の集中と大学の集中の相関はきわめて大きい。

東京圏とは大きな差があるが、人口が集中しているのが大阪圏である。人口の全国シェアは13%超で横ばいに推移している。最近では人口は減少に転じている。県民所得のシェアも最近では15%超にすぎない。それでも伝統的に大学数は多く、大学進学率も高水準にある。

逆に、北海道、東北、四国、九州は人口減少が著しく、所得水準も低い。大学進学率も40%台の県が多い。私立大学の中には、入学定員割れ、赤字法人が目立つ。こうした地域においては、人口減少率が大きく、地域の発展は困難な状況にある。

それだけに、地域は内発的に所得を伸ばす努力が求められる。大学がそうした努力に貢献すれば、学生の確保が可能になり、結果として大学等進学率は上昇することになる。大学はあらためて地域の教育需要を分析し、戦略的に対応を進める必要がある。それが地方創生の王道である。

2018.09.28