「地酒」をコンセプトに、店舗の地域性をさらに発信!

著者
大正大学地域構想研究所 教授
北條規

「座・ガモール」について

地域構想研究所の産・学・官・民連携による社会実装研究事業「すがもプロジェクト」の中核をなすものが、連携自治体の情報発信や特産品を販売するアンテナショップ「座・ガモール」です。学生の人材育成と自治体の支援を目的に設置され、平成28年5月に1号店(東北)と2号店(京都)が、翌平成29年2月には3号店(北宮崎&全国)も開店し、教職員の指導の元、地域創生学部の学生カンパニーのメンバーが主体的に店を運営しています。

オープン以来、魅力的な店舗にするために、品揃えの充実を図ってきました。学生を連れて東北地方に商品開発に行ってみたり、都内で開催される食のトレードショーにも行き、商談や仕入交渉も指導して、新しい魅力的な商品開発活動を進めてきました。そんな積み重ねの影響でしょうか、他の目的で地方に出張しても無性にその地域の特産品や食文化が知りたくなります。飲食店で郷土料理を食べることはもちろんですが、地元の食材を販売している店舗を見つけるのも楽しみのひとつ。近頃は商店街が衰退して、道の駅や大手スーパーマーケットが地域の台所役を担っていますが、逆風の中、頑張っている昔ながらの魚屋、八百屋、食料品店、市場(いちば)にはできるだけ足を運ぶようにしています。その土地で採れる季節の野菜、果物、魚、漬物、発酵調味料、地酒さらには納豆、豆腐、卵、牛乳など、その地域ならではの食材に出会うことは新商品開発の重要なプロセスと言ってよいかもしれません。

「地酒」をコンセプトとした新しい取組

さて、昨年の暮れから「地酒」がコンセプトの新しい取組をスタートしました。ひとつは3号店の2階のcaféをリニューアルして『あちこち庵』という地酒の利き酒もできる食事処をオープンさせました。文字通り全国あちこちにある美味しい地域食材を使った料理と地酒を味わっていただくお店です。料理や地酒を提供することで、地域の食材や食文化の魅力を伝えることができ、1階の物販と連動した新しいアプローチが可能となりました。そしてもうひとつは、1号店・2号店が酒販免許を取得したこと。地酒をボトルで販売することができるようになりました。

最近では酒蔵ツーリズムが人気となっていますが、地域の清らかな水と米を原料とする地酒は、日本の四季や蔵人の技が醸し出す地域の宝です。神事や伝統行事にも必ず酒があるように地域の歴史と関わり、多くの薀蓄を持っています。それを扱うことでこれまで以上に店舗の地域性の強化、店のファン化につながると考えます。

近頃の日本は食文化のベースとなる一次産業の衰退、祭りや行事と結びついた地域社会との関わりの希薄化、さらには、食のグローバル化の中で、食卓の多国籍化が進み、地域に伝わる伝統的な食文化や生活文化も失われつつあります。ガモールの店舗での販売を通して、地域の食文化を東京の消費者に伝えるとともに、学生たちには地域で活躍する人材として、これまで以上に各地域の歴史、文化、伝統を学び、こういった時代の流れを受け止め、地域の食文化の継承という課題にも向き合っていくように指導していきたいと思います。

最後に、今年の新しい取組として、『あちこち庵』で利き酒会をスタートさせます。蔵人に来ていただき、蔵の歴史、付加価値、地域の魅力など語っていただき、酒蔵のある地域の肴を味わっていただきながら

利き酒をする会です。第一回は1月30日、佐渡島の「北雪酒造」です。毎月蔵を変えて開催していきます。

2019.01.15